数日後Companyからメールが来た。

Companyいわく、荷物の所有権をサカシタヨウコに移すためには$125,000(約1300万円)の費用が必要。サカシタに権利取得費用$125,000を要求した。

翌日、Companyはサカシタヨウコからの報告を知らせてきた。

サカシタヨウコは$125,000の支払い能力がなくて荷物の所有権を諦めた。サカシタヨウコはメキシコ通過許可費用$26,000(約270万円)で荷物が自分の所に届くと勘違いしてた様子。ウイルソンはヨウコに荷物所有権獲得の支払い能力がないと知ってがっかりした。

ウイルソンはわたしの所に戻ってきた。

そしてわたしに哀願する。

荷物はテルヨが受け取ってくれ! 絶対返済する。

荷物はテルヨの所に届く。

ずっとウイルソンから聞かされているのは、ヨウコがウイルソンがベルリンに移ってからも連日メールを送り続けている事。彼女は連日メールでウイルソンに、イスタンブールに戻って来てほしいと訴えている。

お金をあげるからわたしと一緒に暮らして欲しい、と。

ヨウコがメキシコ警察への通過許可費の支払いを申し出た事もあって、ウイルソンはヨウコをお金持ちだと思っていた。ウイルソンはヨウコが荷物の所有者になると思って安心したのか、わたしに強気の態度を表した。

ヨウコとわたしを比較する言葉をわたしに浴びせた。

ヨウコはお金持ち。一人で大きな家に住んでいる。

僕の事をテルヨなんかよりずっと尊重してくれている。

僕はこれからヨウコに頼るよ。

―彼の変わり様に驚いた。そしてその直後、ウイルソンはわたしの所に戻ってきた。また荷物の引き取りをわたしに哀願する。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『愛の対価―the dance of blind love―』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。