語学は赤ちゃんに学べ! ネイティブの語学脳を考察する

リスニング練習ですが、外国人の方と会話をこなした方が聞く力は実は上がります。

このことについては、面白い結果が出ています。

Kurlは先に述べた実験の他に、中国語を使った聞き取りの実験も手掛けていました。この中国語の聞き取り実験では、絵本の読み聞かせを一方はネイティブの中国人保育士さんが実際の声で読み聞かせ、もう一方は同じ保育士さんの読み聞かせの音声をテレビで流すということを行いました。

その結果、読み聞かせで聞き分けできた割合が65%、テレビだと55%という結果が出たのです。

即ち、リスニングはテレビやラジオの音声よりも生の音声を聞いた方が効果的であることを示しました。

加えて、実践的な会話がふれあいを生むことをKurlは突き止めていて、コミュニケーションの素地は乳児期から作られることにも言及しています。

これを考えると、人と人との生のやり取りはホンマに大事やなあと改めて感じます。

さて、学習で聞く内容については一人一人のレベルに合ったものを選びましょう。最初からCNNや経済ニュースなどを聞くのは専門用語が多く並ぶのでハードルが高いです。

リスニングやシャドーイングのスピードも初めはゆっくりからで構いません。いきなり無理するのは禁物ですよ!

ちょっと待った! 大人の話をしてないやんと突っ込む人も多いでしょう。

大人でも今から勉強して間に合うの?という疑問もあろうかと思いますが、大丈夫です。

脳科学や神経生物学の世界では、言葉の習得の際に仮説として臨界期(Critical period)が存在すると言われていて、8歳頃を境に学習する年齢が遅くなるほどその習得が難しくなると否定的に捉える人も多いのですが、言語の習得に年齢は関係ありません!

思春期を過ぎて学習を始めてもペラペラに話せている人は全世界いっぱいいます。その根拠として、英国の心理学者R.B.Cattellによる流動性知能と結晶性知能の発見があります。

流動性知能は、計算能力や思考力、暗記力、推論など新しい事柄を学んだり覚えたりするのに必要な知能であるのに対して結晶性知能は、日常の習慣、積み重ねてきた業務やノウハウ、専門的知識、技能、コミュニケーションなど過去に得た経験が土台になる知能のことを言います。

流動性知能は25歳ぐらいでピークを迎えそれ以降は横ばいもしくは加齢により低下が始まるとされています。

一方、結晶性知能のピークは60代とも言われており、専門家によっては生涯を通じて伸びていくというデータも出ています。これに加え、脳科学者で公立諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授は、語学の勉強をとりわけ推奨しています。

これはCattellの発見を基に結晶性知能の効果を具体的に示しているもので、今までの経験を活かして新しいことを学べると述べています。

つまり、頭は使えば使うほど活性化するので、語学学習は脳の活性化にうってつけなのです。学習はいつから始めても遅くありません。人生いつでも限界に挑戦することは可能です。あきらめずにチャレンジしましょう!