地獄一丁目(じごくいっちょうめ)・二丁目前(にちょうめまえ)

やがて車窓(しゃそう)の景色(けしき)は一変(いっぺん)して、今(いま)までとは違(ちが)う山肌(やまはだ)の厳(きび)しいごつごつした山々(やまやま)が続(つづ)くようになりました。丁度(ちょうど)山(やま)の中腹(ちゅうふく)に、列車(れっしゃ)が静(しず)かに止(と)まりました。

青鬼(あおおに)の車掌(しゃしょう)さんが突然(とつぜん)先(さき)ほどの優(やさ)しい口調(くちょう)とは打(う)って変(か)わり厳(きび)しい声(こえ)で、

青鬼(あおおに)「地獄一丁目(じごくいっちょうめ)と二丁目(にちょうめ)の人(ひと)は全部(ぜんぶ)降(お)りなさい!」

と大(おお)きな声(こえ)で叫(さけ)びました。すると後(うし)ろから二両目(にりょうめ)の古(ふる)い粗末(そまつ)な車両(しゃりょう)で、ぶつぶつ言(い)いながら一斉(いっせい)に老若男女(ろうにゃくなんにょ)が立(た)ち上(あ)がりました。青鬼(あおおに)は言葉(ことば)荒(あら)く、

青鬼(あおおに)「お前達(まえたち)は日頃(ひごろ)から悪(わる)いことを平気(へいき)でやる奴(やつ)ばかりだ‼ 

人(ひと)をだましたり、人(ひと)の大切(たいせつ)なお金(かね)を盗(ぬす)んだり、自分(じぶん)の地位(ちい)を利用(りよう)して平気(へいき)で金品(きんぴん)をもらったり、最近(さいきん)のオレオレ詐欺(さぎ)もどんどん手口(てぐち)が巧妙(こうみょう)になった! またこの頃(ごろ)多(おお)くなったあおり運転(うんてん)もそうだ!

俺(おれ)は、子供(こども)の時(とき)からの社会全体(しゃかいぜんたい)の教育(きょういく)が悪(わる)くなったせいで、大切(たいせつ)な基本(きほん)の礼儀(れいぎ)を知(し)らずに育(そだ)つせいだと思(おも)っている!

ともかく、閻魔大王様(えんまだいおうさま)にそれぞれの罪(つみ)の深(ふか)さを検(しら)べて一丁目(いっちょうめ)、二丁目(にちょうめ)にふり分(わ)けて頂(いただ)く! お前達(まえたち)のやった罪(つみ)の深(ふか)さを自分自身(じぶんじしん)でよくかみしめて考(かんが)えろ!」