渋谷 谷間に流れ込む若いエネルギーは絶えず

(3)超高層化が進む渋谷駅周辺はIT産業の集積地に

渋谷駅周辺のビル街は、いま超高層化の建設ラッシュの最中にあります。平成時代に都内の各地で始まったビル超高層化運動の最後の大波が平成の終りから令和にかけて渋谷を襲っているのです。

渋谷駅東口にあった東急文化会館を撤去して超高層ビルの渋谷ヒカリエ(平成二十四(2012)年)が建ったのが大波の始まりでした。令和元(2019)年には渋谷駅西口にあった東急プラザ渋谷が取り壊されて渋谷フクラス(東急プラザ渋谷)という複合高層ビルが竣工しました。

JR渋谷駅の東口と西口に跨がって、駅舎を覆うように建っていた東急東横百貨店はすべて解体撤去されて、その跡地に三つの超高層ビルが建設される計画だそうです。その内の一つが、東急東横百貨店の東館を解体した跡に建った四十六階建ての渋谷スクランブル・スクエア東棟(令和元(2019)年)です。それより一年前の平成三十(2018)年に東横線渋谷駅跡地に渋谷ストリームという超高層ビルが竣工しています。

いま渋谷駅周辺で進行中のビル超高層化が完成すると、渋谷の町は若者のファッションの町(渋谷カジュアルの町)から、IT産業の町に大きく変わると言われています。

NHK本社が米軍のワシントンハイツの跡地に移転したとき、NHKに関係するコンテンツ系の中小ベンチャー企業企業が渋谷周辺に集まってきましたが、その頃は渋谷の中心地にはオフィス・スペースが足りず、彼等は近傍の代々木、靑山、恵比寿、五反田に散在せざるを得ませんでした。

超高層ビルの建設ラッシュが完了する頃には、渋谷のオフィスビル街は、既に進出したGoogle、DeNAなどのIT大手企業に加えて、中小ソフトウエア関連のヴェンチャー企業が多数集まってきて、渋谷の中心地はIT産業の集積地になるでしょう。