ポイント解説

源流は仲井眞県政に在り

2019年2月の沖縄県の完全失業率が2.1%を記録した。全国の平均値は2.3%である。

1972(昭和47)年の日本復帰以来、全国の平均値を下回るのは沖縄県の雇用史上初めてではないか。沖縄県民にとってまさに奇蹟的な快挙であり、驚異的な改善率を示すものだった。

例え2月だけの単月期とはいえ、長い間、高い失業率に悩まされてきた沖縄県政からすれば、それこそ前代未聞の数値といえた。

保守とか革新県政とかを問わず、いつも全国平均の2倍、3倍を超える高失業率に泣いていた沖縄の県政が、やっと全国を下回る失業率を達成した歴史的瞬間であった。

失業率改善と比例して当然、当月の有効求人倍率も1.21倍に伸びた。この数字は、企業側の採用が求職者を上回る状況を示しているわけで、景気の拡大や産業振興、企業誘致に裏付けられた県内経済の好調さを物語っている。

2月以降も有効求人倍率は高い水準が続き、2019年10月までの有効求人倍率は延べで40カ月近く連続して1倍台で推移した。

結局2019年の完全失業率は平均して2.7%となり、復帰以降の過去最低記録だった。有効求人倍率は1・19倍でこれは過去最高を記録した。

全国の中でもここ数年、観光業を軸に堅調な拡大基調で推移している県内の経済動向をみると、沖縄の雇用情勢はこれから先もなお、好調を持続する気配が強い。

完全雇用百パーセント達成はもはや「当たり前」になり、逆に人手不足が懸念される現象さえ起きている。こうした現象は復帰以降、沖縄が初めて体験する「未曾有(みぞう)の好景気」(金融関係者)を反映した結果である。

ほとんど日本全国に立地されている高度技術集積型の製造業のない沖縄でなぜこれほどの好景気が生まれ、いわば完全雇用のような状態が実現したのか。

全ては2006年12月からスタートした仲井眞県政の経済・産業振興策に源流をみて取れるだろう。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『自立自尊であれ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。