【今回のポイント】

①従業員250人の未払い賃金の請求手続き。

②できる限り早く、離職票を発行し、失業手当が受けられる状態にする。

③優秀な管財人が就くかどうか。

【気を付けなければならない点】

どのような会社でも団体でも、経営者が代替わりするときには、必ず波紋が広がる。そこには2代目の色が出てくるからである。2代目が優秀だと優秀な人材を登用するようになり、それ以外の人材は振るいに掛けられる。

今回のように2代目が優秀でない場合は、経営者自身が振るいに掛けられる。取引先もこの振るいをかけ、今後の付き合い方を考える。いつの世も適者生存であり、賢いだけでは生き残れないが、賢くないと生きられないのである。

そして、今回社労士が行うことは、従業員の未払い賃金の請求手続きとできる限り早く、離職票を発行し、失業手当が受けられる状態にすることである。

従業員一人一人が家族の生活を担っており、早期に当面の暮らしを守る手段を実施することが求められた。

このような案件になると、顧問料の数か月分の遅延が発生している場合が多い。従業員に給与の支払いを行えていない状態では、顧問社労士や顧問税理士などは、何か月分か遅滞しているのがほとんどである。

税理士は、会計手続きや決算手続きが事後に多いため、損害は多少で済むだろう。しかし、社労士は従業員の最後の1人まで離職の手続き及び各種社会保険労働保険制度の終了をしなければならない。

もちろん、顧問報酬遅延の中での手続きとなるため、無料報酬業務となることが多い。該当会社に優秀な管財人が手続きに就くと、業務連携がスム―ズに運ぶことができるため、せめて優秀な管財人が就くことを願う。

本案件で伝えたいことは、代替わりした2代目には注意が必要であり、どちらのふるいに掛けるか、早々に決めることを勧める。