代替わり経営者には注意

今回の案件は、初代経営者から2代目に引き継がれたことによって、どのようなことが起きたのか伝えたい。

【事件概要】

あるところに株式会社Fという会社を起業した経営者がいた。その経営者は地べたを這うような苦労の末、カリスマ的な存在感を放ち、事業を行った。

ある時、突然G氏が代表取締役になった。G氏は、創業者の子どもであったが、初代経営者の扶養の中で何不自由なく、我儘に育ってきたため、経営の「けの字」も知らないような人物であった。

そのような人物が代表取締役になると、様々な問題と課題が襲いかかってきた。

まず、経営者である先代社長と幹部社員の連携の引継ぎが上手くいかなかった。

幹部社員は、初代経営者が掲げた会社の理念に沿って就業してきたが、G氏にはその理念が無く、初代経営者の掲げた理念を引き継ぐわけでもなかったため、これまでと変わる環境に耐えられず、ベテラン幹部社員は次々と会社を退職していった。

ベテラン幹部社員が次々と退職する中でも、G氏は自分のどこに原因があるのか理解していなかった。そして、取引先との商談の日を失念したり、約束の時間を失念したりと失態はこの後も続いた。

一方でG氏は、自分の意思に従わない従業員を疎外したり、常に上から目線で話したりするため、G氏を何とかしようとする従業員はいなかった。

経営者の立場にもかかわらず、経営数字の収支が理解できず、資金に行き詰まっていても何とかなると楽観的であった。

長年経営を支えてくれた税理士事務所を平気で契約解除し、最後の砦が崩れた。遂に資金が底をつくことになり、G氏はすべての銀行(7金融機関)を回り、融資の依頼をしたが、断られてしまった。

G氏は、弁護士事務所に相談したが、ここでも弁護士のアドバイスを理解することができず、最終的に倒産し、従業員250人が路頭に迷うことになった。

G氏が2代目となり、ベテラン幹部社員が辞めていく中で残った250人の従業員は、給与も払ってもらえなかった。初代経営者が起業し、40年栄えてきた会社は、たった2年で跡形も無くなった。まさしく、栄枯盛衰を物語った絵図であった。