ここからは少し私の意見をお話しさせていただきます。これからの話の大前提として、病気を伝えなければいけないという法律の決まりは無いそうです。その上で、伝えるか伝えないかの判断基準を以下のように考えます。

病気を完全にコントロールできていて日中の配慮・協力などは一切必要なく、疾患によって生じるミスが起こらないと一〇〇%言い切れる場合は、わざわざ伝える必要はないと考えます。

これは完全にコントロールしているにもかかわらず、病気を抱えていると伝えてしまうことで、採用の可能性がガクンと下がることがあるからです。

一〇〇%自信があるのであれば、隠し通せばいいと思いますが、もし万が一病気によって生じたミスがあった時に、病気を理由にすることはできなくなります。そのことを認識した上で、伝えないという判断をすればいいでしょう。

一方で、病気をコントロールすることに対して少しでも不安を感じるのであれば、素直に伝えておくべきだと考えます。

これは双方にとって大切なことだと言えるでしょう。私のように人の命を預かる仕事の場合が分かりやすいですが、突然眠ることで人を死なせてしまう可能性や、大きな損失を出してしまう可能性があるからです。

その際、職場側があなたの病気を把握していなかったとなったら、職場に守ってもらうこともできませんし、大問題になるのは容易に想像がつくでしょう。

自分の内定を優先させたことで、誰かに多大な迷惑をかけてしまっても構わないと考えられる人はさすがにいないはずです。自分を守る意味でも、病気であると伝えることは大切だと考えます。

そして、これは今だから言えることかもしれませんが、病気を理由に不採用にするような職場であれば、病気を隠してまで働く価値は皆無です。

どうせストレスを溜め込んで体調を崩すなど、その他の影響も出てくるのは容易に想像がつきます。

この判断基準は、あくまで私の意見です。

しかし、もしこの本を読んでいるあなたが、就職で悩んでいるのであれば少し参考にしていただけたら嬉しいです。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『ナルコレプシーと生きる ー向き合い方から在り方へー』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。