健康長寿対策に欠かせない成分「PQQ」

PQQとはピロロキノリンキノン(pyrroloquinolinequinone)の略で、1979年に、酸化還元酵素の補酵素として微生物から発見された水溶性キノン化合物です。

日本ではまだあまり知られていないのですが、私たちがふだん口にしている食品や飲料にもともと微量に含まれており、栄養学的にも重要な物質であることが数多く報告されています。

補酵素とは酵素のはたらきを助ける化合物のことをいいます。私たちの体内で行われる消化や代謝などには酵素の作用が不可欠ですが、中には単独では円滑にはたらけない酵素もあります。この、単独ではスムーズに作用できない酵素のはたらきを助ける化合物が補酵素で、多くはビタミンとして知られています。微生物においては、酸化還元反応などにかかわる補酵素として、PQQがはたらいているとの報告があります。

その後、1989年に、マウスを使った実験で、PQQをエサといっしょに与えたマウスと、エサのみのマウスでは、PQQを与えられなかったマウスは、発達不全、生殖能力低下、骨不全、皮膚の異常や免疫不全などの早期老化を表すような症状(欠乏症)を示すことがわかり、何らかの栄養素としての役割を持つ可能性が報告されました。ただ、この時点では動物の寿命への効果はまだ明らかになっていませんでした。

[図表1]ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩(PQQ)の特性とその機能性効果 池本一人(2016)ジャパンフードサイエンス(55)15─18