執筆者たちは第二のシナリオに「劇症型気候変動」というタイトルを付けていて、これが現実的な未来像とみなしているようですので、これの要点を以下に記します。

まず、港湾都市ですが、

「グリーンランドや西南極大陸で氷床の融解が加速的に進んだため、海水面はすでに世界中で0.5メートル上昇しており、いまよりはるかに強力になった気候システムがもたらす高潮のせいで、ニューヨーク、ロッテルダム、ムンバイ、上海といった海抜の低い港湾都市はすでにひどい浸水に見舞われている。

ロンドンは現行の洪水防止ダムよりいっそう高い、『第2テムズ・バリア』を築くことで、さらに50年ないし100年、時間を稼げるかもしれないが、大抵の港湾都市は、新たな、当座の港を造りつつ、海面が上昇するたびにより内陸へと後退を続けることになる。既存の資産を放棄し、新たな一時的港湾施設に再投資するという作業を継続的に行うことは、かつて豊かだった社会にとっても大きな負担となる。」

と予測しています。

世界のデルタの農業地帯では、

「バングラデッシュ、エジプト、ベトナムといった大河のデルタ地帯に人口が密集する国々は、うち続く高潮に陸地を浸食され、すでに大量の難民が発生している。そうした地域は現在、世界の食料生産を過剰なくらい担っているけれど、まさにその地域の穀物生産が急激に低下していくのだ。

大陸氷河の不安定化が不可逆的に進むということは、今後数世紀にわたって、海水面が4ないし6メートル上昇することがもはや避け得ないことを意味している。そうした主要デルタ地帯は最終的に姿を消すことになるが、沿岸地帯が水没するまでのあいだ、人類文明は数世紀にわたって持続的後退へと追い込まれる。」

と記しています。農業や漁業は、

「水の供給がか細くなり、灌漑農地から水分が急速に蒸発する結果、土壌の塩害が深刻化し、灌漑事業はとりわけ困難に見舞われ、また乾燥亜熱帯地域では、農業は実質的に不可能となる。中緯度の、より赤道に近い地域では、砂漠が広がっていく。

漁業は珊瑚礁の白化や、海水の酸化、海洋生物の揺籃ともいうべき沿岸湿地帯の大規模喪失により、世界中で大打撃を受ける。もっとも、主要漁業基地の大半は2040年よりはるか以前に、気候変動の助けなどわざわざ借りなくとも、乱獲によって立ち行かなくなっているだろう。」

としています。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。