発達障害

広汎性発達障害とは、自閉症の特徴を有し、一方的な対人行動、言葉の遅れなどのコミュニケーション障害、想像力の障害、興味・活動の限定、特定の事柄へのこだわり・執着性を特徴とするものである。

発達障害の原因としては、脳の発育・発達が、何らかの理由で損なわれ、言葉、社会性、協調運動、感情や情緒のコントロールが、不完全になるためにおこると考えられている。すなわち、発達障害は心に由来するものではなく、脳の発達の偏りやアンバランスさに由来するというのである。

広汎性発達障害のうち、知的な遅れがなく、言葉の障害が軽いアスペルガー症候群についてその特徴をあげると、視点を合わせ、表情豊かに交流するのが苦手で、態度や表情から相手の気持ちを察し、その場の空気や雰囲気を上手に読み取れない。

会話が一方通行的で、裏にある言葉の意味や真意が理解できず、ユーモアや比喩が伝わりにくい。興味や関心にかたよりがあり、特定の物事に熱中しやすい。たとえば、車、電車、飛行機、ロボット、気象、歴史、宇宙、昆虫、恐竜などについてカタログ的な知識の収集に没頭する。

自分の興味の分野については、驚異的な記憶力を示す人もいる。手順、順番にこだわり、その通りいかないと不安定になる。ルールやきまりごとに執着し、特定のメーカーの食品にこだわるなど融通のなさがみられる。

感覚(聴覚、触覚、味覚、嗅覚など)が鋭敏であったり、鈍かったりする。感覚が普通の人と違うため、集団の中にいると、人のざわめきや動きが頭の中で錯綜し、耐え難い感覚に襲われたりする。

ただし、これらの特徴をすべて有する典型例より一部の特徴が目立つケースの方が多く、健常者と見分けがつきにくい。たとえ障害があっても日常生活に支障がなければ、問題はないわけで、障害という概念でとらえる必要はないといわれる。

成績優秀な発達障害の場合、成績の良さで欠点がカバーされるため、かえって発見が遅れ、二次障害をきたす可能性もある。

発達障害が注目を浴びたのは、理解しがたい青少年の事件が多発したこととも関係がある。過去十年間で発生した理解しがたい青少年の事件のうち発達障害との関与が指摘されているケースをあげると、豊川主婦殺人事件(二〇〇〇年五月)、岡山金属バット母親殺害事件(二〇〇〇年六月)、長崎男児誘拐殺人事件(二〇〇三年七月)、佐世保小6女児同級生殺害事件(二〇〇四年六月)、奈良高一母子放火殺人事件(二〇〇六年六月)などがある。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『爆走小児科医の人生雑記帳』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。