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幸福を左右する要素は、男女で違う

幸福感についての調査で、最も興味深かったのは男女の違いでした。

写真を拡大 [図表1]幸福感を八〇点以上とした人たちの家族構成

上の[図表1]は、幸福感を八〇点以上とした人たちの家族構成ですが、幸福感の高い男性高齢者の七八%は配偶者と同居しているのに対して、女性は四六%に過ぎません。幸福感の高い高齢女性の三九%は配偶者と死別しています。同居家族をみても、一人暮らしでも幸福感が高い男性はわずか四%に過ぎませんが、女性では三二%に上りました。

一目瞭然ですが、高齢男性の幸福感は、配偶者と一緒に暮らしているかどうかに大きく左右されます。妻が死ぬとあとを追うように亡くなってしまう男性が多いというのが、さもありなんと感じさせるデータです。

少し付け足せば、私たちが行った別の調査で、「今の配偶者と結婚してよかったと思うか」という質問に、「そう思う」「ややそう思う」を合わせて、男性では八四%に上りましたが、女性では六一%に留まっており、そもそも結婚や配偶者に対する満足度において高齢の男女では差があるという面もあります。

この調査に回答した女性に直接、話を聞いてみたことがあります。ガンで配偶者を亡くされていたのですが、幸福感のスコアがとても高かった方です。

「女性は、ご主人を亡くしても平気なのでしょうか?」と訊くと、その方は「主人が亡くなったときはゼロ点になったわよ。そりゃ悲しくて何日も泣いたもの。でもそこからグーっと(と、左手を右側にクロスさせながら)上がっていって、今は一〇〇点!」と活き活きとした表情で答えられました。

知り合いに、一〇四歳までオセロを日課にしていたというほど元気な祖母がいた人がいます。一〇六歳で亡くなったそうですが、ご主人の存命中とその後ではかなり違ったと言います。元気なおばあちゃんとして近所でも、最後に入っていた施設でも有名になったのは、ご主人を亡くされたあとからだったようです。

あとでも触れますが、ハーヴィガーストという教育学者は、高齢期の課題として「配偶者の死に適応すること」を挙げています。女性はこの課題をクリアする力が男性よりもあるということなのでしょう。