殺人現場

その一方で、達郎は、今更ながらに、智子の行動に呆れ果てていた。

だが、どちらにしても二人とももうこの世にはいない。もうどうでもいいじゃないか。そう思った達郎は、後はこの茶髪の女と会話を楽しもうと思った。

「よく、そういう接待には行くんですか」

達郎は、好奇の目で尋ねた。

「ええ、たまには……」

女は何のためらいもなく、平然として答えた。

「だけど、そういう接待に駆り出されちゃ、沢山給料をもらわないと合わないねえ……」

「もちろん、お金のためですわ」

「金の……」

「ええ、当日、接待に付き合った者には、一万円が支給されて、もし、先方のご指名にあずかれば、さらに、五万円になるんです」

女は、接待の社内規定を解説した。達郎に連れて来られた当初よりも緊張が解けて来たようだ。ちょうどその時、脚を組み替えたマイクロミニのスカートからすらりと伸びた脚線が、達郎の視線を釘付けにした。