将来を見据えて科目を選択

ゴールドコーストにあるハイスクール。その日は、授業が終わってもほとんどの教師が帰宅せず、忙しそうに動き回っていた。夕方から新年度に向けた9年生と10年生対象の科目説明会が開かれるのだという。

後期中等段階の11年生と12年生は高等教育への準備教育と位置づけられているので、進路につながる科目を履修する。そして、その前段階の9年生と10年生は後期中等段階につながる学習をしておく必要がある。履修科目の選択はとても重要だ。

会場となっている体育館には、いたるところに教科のブースが設けられ、資料が展示されている。ほとんどが担当教師の手作りで、どんなことを学習するか、評価はどのように行われるか、費用はどれくらいかかるか、どのような進路につながるか、学習する意義は何かなどを記載した資料も置かれている。

興味深いのは、それぞれの科目を履修することにどのような意義があるか、どのような職業に就けるかを具体的に示していることだ。

たとえば、音楽では、将来の職業として教師、音楽セラピスト、エンターテーナー、音楽インストラクター、作曲家、編曲家、音声技師、舞台監督、視聴覚技師などが挙げられている。

地理を学習する意義は次のように記されている。

「地理の学習は、出かけたりフィールドワークをしたりするときにも役立ちます。科学を学ぶ上でも必要な分野です。地理の知識は様々なキャリアに役立ちます。たとえば、都市計画、教職、建築、環境、行政、ジャーナリズム、鉱山、地学、環境保護、旅行業などがあります。この中には近年の気候変動に伴って、経済分野で需要が高まりつつある業種が多数含まれています。地理には直接関係ないように思えるものでも、実は深くつながっているのです」。

日本語についてはどのように記されているか見てみた。

「グローバル化する世界の中で、日本語ができると就職にとても有利です。日本では、教育、ビジネス、ホスピタリティー、観光、政府機関、国防など多様な分野で、日本語のスキルを持った外国人材を求めています。オーストラリア国内でも、言語のスキルは芸術、教職、マーケティング、IT、商業、ビジネス、法律、科学、工業など多様な分野で役立ちます」。