マハティールの警告

前述のマハティール氏は、高度成長後の日本人に対して大変耳の痛いコメントをしている(『朝日新聞』2000年11月14日)。

「人を真似るのは、その相手が自分より優れていると認めることを意味します。私が採用したルック・イースト・ポリシー(東方政策)は勤労精神にあふれた日本人の良い面を模倣するためでした。日本人は企業に忠誠心を持ち、懸命に働きました。自己犠牲の精神です。

その結果、日本は急速に発展し、国民は裕福になれたのです。しかし、日本の若者は日本人の良き特徴を次々と失っています。

例えば会社に定着せず、楽しみを優先してまた別の会社に移ってゆく。生活を楽しむだけでは日本のこれからの発展は難しい。これは彼ら自身にも、国にとっても良くないことだと思います。

日本の若者は髪を茶色に染めて、欧米人のようになろうとしています。私は欧米追随が茶髪だけにとどまってくれることを願っています。しかし、いまの日本の若者は行動までも日本人的でなくなっていることは、疑問の余地がありません。

我々はいま、そんな日本人を真似すべきでないと考えています。百年前、欧米人は健全な文化を持つ強い人々でした。しかし、そうした社会は崩壊し、人々の良き価値観は失われてしまいました。生活を楽しむためだけに生きている。自分に役立つことはしません。結婚もせず、家族関係は崩壊しました。

一方、日本も含めアジア人はきちんとした家庭を持つべきだという価値観があり、そこからより良き安定した社会ができあがります。日本に、そのような文化がなくなれば国を強くすることはできないし、国際競争にも勝てなくなります。

日本は台頭する中国との競争にも直面しています。中国は大国で、人々は非常に勤勉でかつ器用です。日本に競争力がなくなれば、中国は非常に強くなり、日本は対抗できなくなると思います。日本は勤労精神・教育・技術などを維持し、向上させなければならないのです」と。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。