ナルコレプシーと初めて向き合う

高校二年生になり受験を意識し始める頃には成績がさらに低下し、模試でも志望校の判定はどこも最低ランクでした。高校三年生の時の担任に三者面談で、「病気もあるし指定校推薦で大学に行くことを勧める。これまでの教員経験からすると志望校は絶対無理だ、ありえない」と言われました。私はこのことを覚えていなくて、あとになって両親から聞いたのですが、私以上に両親が悔しさや怒りを覚えるほどの話しっぷりだったそうです。

投薬をしないままでは、授業中も放課後も寝てしまい、勉強時間の絶対量が全然足りませんでした。再び投薬を決断したのは、受験を前にしたその時、ナルコレプシーの投薬によるコントロールが必要だと感じたことが大きく影響していました。これがきっかけとなり服薬を始め、受験ではできるところまでやってみようと決心することになります。

高校三年生の十月頃から投薬を開始し、処方薬はモディオダールという薬でした。最初に診断がついた時、処方されたリタリンが身体に合わなかったので不安もありましたが、モディオダールは身体に合っていたのか副作用も比較的少なく、その時から現在までモディオダールを服用し続けています。

日中の覚醒時間が増え、今まで生きてきた世界が鮮やかな色で満ちたような気分でした。完全に寝なくなるわけではありませんが、突然寝てしまうことはなくなり、休み時間に少し仮眠を取る等(ナルコレプシーのおかげで一分もかからずすぐに眠れました)、生活の工夫をすることで、授業中の居眠りもかなり減らせることができました。

その結果もあってか、志望校に合格することができました。進学先や将来の仕事を考えた時に、自分自身と向き合うことは当然必要不可欠なことでした。なんとか納得できるカタチで、進学先を選択することができましたが、何度も何度も自問自答を繰り返していた時期でもあり、この時間が後に、とても大きな財産になるのでした。

私が何かを決断する時には常にナルコレプシーが頭の中にあり、病気を踏まえた決断になってしまいます。この感覚は健常な方には理解しづらいかと思いますが、将来を考えると、進学や就職、結婚等大きな選択を迫られる時が必ずやって来ます。

大学進学について真剣に考えた時、初めて自分自身と向き合ったことで、ナルコレプシーが私の今後の人生に大きく影響していくのだと初めて気づいたのでした。