報告書の共同執筆者でポツダム気候影響研究所の所長を務めるハンス・ヨアヒム・シェルンフーバーは、

「気温が2度以上高くなると、今は気温上昇を防いでくれている自然(地球)システムが大量の炭素発生源へと変わり、地球が産業革命以前から4~5度高い気温になる『不可逆な道』を歩み始めてしまうが、その閾値(しきいち)が2度なのか、3度なのか、項目によっても異なるので、いまのところわからない。2度を超えればいつ起きるかもしれないから、とにかく、〇刻も早く、二酸化炭素の排出をゼロにするべきである」(日本版ニューズウィーク2018年9月18日号)

と、まさに私が懸念していたことが、起きるか、すでに仕掛けられているというのです。

写真を拡大 [図表1] 気温上昇と二酸化炭素濃度の目標値の関係(マーク・ライナス著の表を著者が簡略化)

『+6℃地球温暖化最悪のシナリオ』(ランダムハウス講談社、2008年刊)の著者マーク・ライナスは、IPCCの報告書や多くの両極端の学術論文も読みこなして、表2のように、気温上昇と二酸化炭素濃度の関係をまとめています。

2019年の二酸化炭素濃度は410ppmですから、もう、気温上昇を「2度」にとどめることはできないでしょう。現在のように年間2.6ppmずつ増えるとすれば、450ppmに達するのは、15年後の2035年です。同じく550ppmに達するのは、その38年後、2073年になり(実際には、年間2.6ppmではなく、まだ年間の排出量は増加していますので、もっと早く、2060年頃になるでしょう)、気温上昇は「4度」となります。

以後、650ppm=5度、800ppm=6度となりますが、これからパリ協定が動き始めるのですから、現実的には2060年に550ppmになり「4度」上昇で食い止めるのが精いっぱいかもしれません。もちろん、これを早めれば早めるほど、その分、将来の人類存続の可能性が高まりますから、私たちは最善を尽くさなければなりません。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。