会員増強の障壁

僕が、クラブ会長になって一番腐心したのが会員増強だった。会長になる前年度の末、クラブの会員数は六四人にまで減少していた。地元高崎では最も古いクラブであったが会員は減る一方だった。その一五年ほど前に僕がクラブに入ったときは一○○人ほどいたのが、どんどん減少していった。

他方、高崎市内の他の五つのクラブは順調にその数を伸ばしている。このまま放置していては、早晩うちのクラブはダメになる。まずはその原因を調べよう。「なぜ高崎クラブは選ばれなくなったのか」と幹事のHM君、会員増強委員長のNY(土木)君、親睦委員長のJY君などを中心に何度か話し合った。

思いつく原因はいくつかあった。そしてその原因は、その後、僕が全国に会員増強関連の講演に行くようになって気づいたことと同様のこと、つまり多くのクラブに共通していることだった。いろいろなクラブが抱える会員増強の障壁となっている原因とは、主に次の四点だ。

(1)シニア会員自らが自覚するべきことを正しく認識していないこと

特に会長を経験したシニア会員は、もうクラブ内の運営については卒業した気分になって協力的ではなくなることだ。クラブのことより、自分のことが優先するとの考えを持つ人がいる。「俺はいままでクラブに充分に協力してきた。もういいだろう」という感覚だ。

でも、クラブを辞めようとはしない。ロータリアンとしてのステータスは保持したいのだ。特に、各種の寄付金やニコニコボックスへの協力などには極めて消極的で、若手に対する手本になっていない。反対に、どうでもいいような些細なことには口を挟んで、良好なクラブ運営を阻害する場面がある。

若手が望むのは、金は出すが口は出さない好々爺が一番ありがたい。単に馬齢を重ねるだけの口うるさいジイサンが一番やっかいなのだ。

「人間、齢をとればとるほど枯れて無欲になる」というのは若い連中が勝手に勘違いするところで、齢をとればとるほど性格が悪くなり物欲が増す。老人はそれまでの人生の集大成だから、立派な人は立派になるが、悪い奴はますます悪くなる。その人の性格や生活が滲み出るのだ。