財源の検討4 特別会計のスリム化

ここで、特別会計について概観しておこう。特別会計から、特殊法人、認可法人及び独立行政法人(以下「特殊法人等」という。)に対して出資がなされている。しかし、民間企業の行っている出資とは異なり、その内容は事業資金の供給である等、特殊法人等を支配する目的で行われているものではなく、また、当該出資には議決権がない。

独立行政法人は、都市再生機構(以下「UR」という)等、2020年4月1日現在で合計87法人が存在する。特殊法人は、民営化や行政改革による統廃合等で現在減少傾向にあり、2017年4月現在では、日本中央競馬会(JRA)、日本放送協会(NHK)、日本年金機構等合計33法人となっている。

認可法人は、民間側が発起人となって設立されるものの、設立にあたっては特別法に基づいて、大臣の許可が必要な法人であり、日本銀行、日本赤十字社等がある。

このうち「特別の法律により設立される民間法人」(特別民間法人)は、地方公共団体が設立主体となる法人を除き、国が出資や役員の任命を行わないことが特徴で、2017年4月現在、合計34法人である。

財務省特別会計ガイドブック(平成30年版)によれば、会計間相互の重複計上額及び国債の借換額を除いた純計ベースで見た国の財政規模(歳出予算)は、一般会計43.2兆円、特別会計195.7兆円(平成30年度当初予算)である(「国の財政規模の見方について」)。

これらの法人の業務に国民の関与を強める必要がある。波頭亮は、一般会計予算の数倍にも及ぶ特別会計予算の透明化と不用な事業の廃止や不急の資金の積み立てを止めることによる余剰資金の捻出によって、多額の財源が確保できるとしている。その額は、波頭の試算では、フローベースで毎年16兆円程度、その他の推計でも毎年10兆円以上は見込むことができるという。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。