びっくりぎょうてん、アルコールのすんごい力!!

私の父もけっこうお酒が好きだった。その父にもとんでもない失敗話がある。私は結婚前、父の店の経理を手伝っていた時がある。その当時、商店会の中で、子供相手に駄菓子屋さんをやっている八十近いおばあさんがいた。

確かおまんじゅうを置いていたのか、子供の中ではまんじゅうばあちゃんと呼ばれ、やさしいおばあちゃんだった。ある朝、そのまんじゅうばあちゃんがうちにやって来て、「昨日、お父さんとAさんがうちの店へ来て、お金が足りないからと明日、アッコちゃんの所でもらってくれって!」と請求書らしい紙を私に見せた。

私は請求書? と不審に思い、額を見てびっくり! 何と十万近い金額が書かれていたのだ。今から四十年以上も前の話である。とんでもない金額だ。でも金額よりも駄菓子屋で十万? 意味がわからずよくよくまんじゅうばあちゃんに聞いてみると、まんじゅうばあちゃんは昼間は駄菓子屋さん、夜はスナックで働いていたのだ。

父とAさんは偶然そのスナックに入って、そこを貸切状態にして、楽しんだという事らしい。お会計になったところで、金額が足らず、「明日うちに取りに来て!」という流れになったらしい。

私は「わかりました、父に確かめて、あとでお支払いにうかがいます」と伝え父に確かめた。確かにそのスナックへ行った事を認めた父は、「そんなに飲んだかな〜おそらくぼったくられたんだな〜」などと、のん気に答えていた。

「何でそんな店で飲んだの? スナックだから高いのはあたり前だけど、何もあんなばあさん相手に何が楽しかったの?」

「けっこうかわいいお姉ちゃんがいて、あまりにも暇そうだからかわいそうで……そうか〜まんじゅうばあちゃんもあの店手伝ってたのか。中で洗い物でもしてたのか?」

「ハ〜ッ‼ 何言ってるの! 親父さんが横につけて、ずう〜っと手をにぎってニタニタ話してたのは、まぎれもなくまんじゅうばあちゃんですから‼」

「そんな事あるかいな! 俺のとなりにいたのは、色の白いかわいい姉ちゃんだったよ!」

「ハ〜ッ‼ 本人がそう言ってんだから確かでしょ‼ 社長(父)さんはずっと私の横にいて気にいってくれたようで高いお酒も入れてくれたって喜んでたよ!」

「エッ……」

父はしばらく絶句したままだった。そうなのだ。酒の力って本当におそろしい。八十近いばあさんも真白くお化粧をして、うす暗い照明の下では、もう二十〜三十代の活きのいいお姉ちゃんに見えてしまう。だったら私も酔っぱらえば、目の前にいる旦那も嵐の相葉君に見えるんだろうか? そんな父も今は墓の下で不覚な自分を恥じている事だろう。