タンパク質が正しく折りたたまれずに、異常な絡まり方をしたタンパク質が脳内に蓄積することで発症するといわれている疾患は、英語で「折りたたみ」を「フォールディング」ということから、「フォールディング病」と呼ぶようになってきました。

フォールディング病の代表的なものがアルツハイマー病やパーキンソン病などの脳の病気です。

しかし、ヒトの体はうまくできており、仮に変な絡まり方をした異常なタンパク質が発生しても、きれいにほどいてくれるタンパク質があるのです。

それがHSP(Heat Shock Protein=熱ショックタンパク質)と呼ばれるタンパク質です。

細胞は水を除くとほとんどがタンパク質でできていますが、HSPはすべての細胞の中に普遍的に存在していて、体(細胞)に「熱(一種のストレス)」が加わると誘導されて、傷んだ細胞を修復します。

私たちが元気に生きていられるのも、知らない間にせっせと修理に励んでくれるHSPがいるからこそであり、HSPは“細胞の修理屋さん”ともいうべきありがたいタンパク質なのです。

しかしながら、変な絡み方をしたタンパク質が少量であればHSPが分解処理してくれますが、大量になってくるとHSPの処理能力を超えてしまい、変な構造をもったタンパク質がたまって、フォールディング病の発症へとつながってしまいます。

ということは、HSPをたくさん生体内で増やすことができる物質を体内に投与すれば、HSPの処理能力が上がり、フォールディング病治療につながるということになります。

じつは、私が最近注目しているもう一つの健康のキーワードが、この「HSP」なのです。HSPは世界中で多くの研究者が研究をし、医療の現場でも注目されているタンパク質です。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『人生100年時代健康長寿の新習慣』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。