2章 責任構造物としての防災施設の使命

防災に関わる構造物は国土を守る重要な責務を負う

肝心の時に崩壊してしまう既存の防災構造物

防災に関わる構造物は全て重要な責務を負っている。故に防災構造物は「責任構造物」である。国民の拠出金で出来た国民共有の財産でもある。

例えば、河川堤防や海岸防潮堤等は、水や波を制御するために構築するのであって重要度は大きい。その役割は、川の水が豪雨によって増水した時、あるいは津波等で波が高まった時に国土・国益を守るために働く、正に責任構造物である。

その責任構造物は普段の日常には何の役目もなく、多くの金を食い大面積と大きな図体をさらして居座っている邪魔物である。

洪水が起こり、また高波に襲われた時が肝心の出番であり、本領を発揮し責任を果たさなくてはならない。

ここで使命を果たさなければ本当に無用の長物であるが、それが既存の構造物は肝心の役目を果たすべき時に崩壊してしまう。これでは何のための構造物か、何が目的で構築したのか責任構造物の真価が問われる。

責任構造物の崩壊が甚大な災害を引き起こし、多くの人間を殺し、財産を消失させているのである。

既存の防災構造物が本当に責任構造物としての役割を果たす材料で出来ているのか、本当に責任の持てる科学構造をしているのか、全権を掌握している関係官庁がまずもって検証しなくてはならない。

いかなる場合でも、災害に対抗する最前線は国の行政機関である。

国の造った責任構造物である防災構造物が崩壊することは重大なことであり、はっきりとした崩壊の理由を挙げ責任の所在を明らかにしなくてはならない。

「やったことのないことはやらない、使ったことのないものは使わない、前例がないから受け付けない」という「前例主義」を踏襲していては、納税者である国民は、壊れる前提のものに大金を拠出するだけで、安全は永遠に享受できない。

最先端の科学技術を駆使し、災害に対抗しなくてはならない

有史以来の災害の記録を基に、最先端の科学技術を駆使して防ぎ切れないものは仕方がないが、想定ができる時代であり、また、想定をしなくてはならない科学技術の時代にあって「想定外」とは断じて言えないし、言ってはならない。

また、科学技術は秒進分歩で発展進化している。防災に関わる内容は人の命が懸かっている、最先端の技術をいち早く取り入れて対抗しなくてはならない。「建設は日々新たなり」の所以である。

人命と財産を守る最重要課題である国土防災にこそ最新の科学技術を取り入れ、今の時代の最新素材と最新工法を駆使した責任構造物を造ることが、行政の国民への責任であり信頼である。

防災構造物は国民共有の財産として蓄積していくべきものであって、いくらコストが高くても壊れないものを造ることが大前提である。

科学原理に適合し実証済みの強固な防災施設が年々増強されて延長していく、これが国民の安全と安心を守る国民の財産である。そして災害を繰り返さないことにより災害復旧費も激減し、大きな減税にもつながるのである。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『国土崩壊 「土堤原則」の大罪』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。