A子は無事志望校の電子システム科に合格した。中位の成績だったという。面接でいじめの件も聞かれたという。

彼女は、高校では演劇部に入りたいと夢を語った。幼少期から独り言が多く、七人のメンタルフレンドと交わすやりとりが演劇への夢を育んだのかもしれない。

不思議なことに、高校に入ってから身体症状は全くなくなった。前年夏の地獄のような苦しみがウソのようだった。高校生活が充実するにつれ、メンタルフレンドも七人から、夏休み前には三人にまで減っていた。

小学校時代は果たせなかった体育の授業にも全て参加できるようになった。男子生徒に混じってバスケットボールやドッジボールをできるようになった。水泳で二〇〇mを泳ぎ切ることもできた。

高一初夏、驚嘆すべき出来事があった。ITパスポートという難関のパソコンの国家試験に一発合格を果たしたのだ。一年生での合格者は開校以来とあって、学校側も驚いた。同じ高一の夏、県内高等学校の意見発表会では学校代表に選ばれ優良賞に輝いた。

今は、仲間らとロボットのプログラミングに取り組んでいる。幼少期、親やまわりとのコミュニケーションがうまく取れず、そのストレスから下痢や嘔吐や感染症を繰り返し、喘息や肺炎で入退院を反復し、小中学校の大半を休み、車椅子で通ったこともあるA子は高校入学を契機に一変した。

あるがままを受け入れられ、自己の存在価値を見出し得たとき、人は一変することをあらためて知った。彼女は今、「将来は体が不自由な子たちでも遊べるようなゲームソフトをつくりたい」と夢を語っている。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『爆走小児科医の人生雑記帳』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。