日本の学校で禁止されていて、オーストラリアでは許可されているものがある。アクセサリーだ。ピアスや指輪、マニキュア、ブレスレットなど、一定の条件はあるが、身に着けること自体は禁止されていない。日本で議論になることが多い髪の染色も、完全に禁止というわけではない。不自然かつ極端な染色でなければ許可されることが多い。

そもそも、髪の色は多様なので、問題にすること自体が不合理だ。日本では、生来の髪の色であるにも関わらず、染色を疑われ、「地毛証明」なるものの提出が求められたりする。髪の色は千差万別。髪の色そのものを問題にするのではなく、染色という行為の背景にある生徒の心のあり様に目を向けるべきではないかと思う。

日本の生徒が服装指導に不満を持つ理由の一つに、きまりとして明記されていないのに指導されるということがある。指導が教師の主観や好み、時に、美意識によってなされ、「自分の好みで注意しないでほしい!」という反発を生む。教師間の指導の不統一にもつながり、反発は指導体制にも向かう。「A先生は何も言わないのに、B先生はうるさく言う」という反発だ。

明記されていなくても指導が必要なことはある。だが、理不尽な指導があるのも確かだ。ワイシャツの腕まくりを禁止する学校のことがメディアで取り上げられていた。校長が「好きじゃないから」禁止にしたと伝えられていたが本当だろうか。

オーストラリアの学校も、ルールをすべて明記しているわけではない。だが、服装指導に関しては、日本より細かいという印象を受ける。そして、教師は明記されていることについては厳しく指導する。だが、明記されていないことについては何も言わない。指摘することはあっても判断は生徒に委ねる。

制服指導でぶつかることがないのは、そんなところにも理由があるのかもしれない。制服のデザインや着用のルールに保護者や生徒の意見が取り入れられ、保護者組織の合意が得られていることも、理由の一つのようだ。