では、準備とは何をすることなのだろうか。それは、平成の時代より行っている外国人労働者の受け入れ及びその環境の完備である。これを実現するには、日本企業と国民の理解が急務である。例えば、介護施設で外国人を雇用して、そのサービスを受ける高齢者が、拒否反応を示す可能性がある。

同じ人間であり、サービスの提供は劣らないが、一部の日本国民の中には発展途上国の国民を下視するきらいがある。よって、国には国民に対する理解へのアプローチがまだまだ必要である。企業の準備とは、グローバル化する雇用環境に適合する人材育成ができているかどうかである。

つまり「多様な考え方に適合する感性を持った人材を育て、雇用しているのか。言葉が通じる人材を雇用しているのか」である。旧態依然とした、日本的雇用思想である「雇用契約も結ばず、働いた結果を見て決める」や「丁稚奉公形式」「年功序列」「よそ者排他主義」「外国人偏見主義」に頑固に固持しているようであれば、準備ができているとは言い難い。

また、共に働く従業員が外国人と接することに臆さないか、タブレットなどの先進機器に適応できているのか、共通言語の使用は可能なのかなど、従業員にも準備が必要になってくる。人材不足に対する右記に示した準備の項目を、早急に整えていくことが必要であると考える。

私の事務所では、外国人を雇用している企業を多く顧問先として、その事務手続きや管理を行ってきた。一方で、外国人との面談や会話に臆することが過去に多々あり、専門的アプローチの実施はしてこなかった。

しかし、そのようなことを言ってはいられない環境に置かれた今、外国人紹介事業を積極的に実施していくことに決めた。技能実習制度の活用ではなく、特定技能や高度人材外国人の招聘である。始めの第一歩として、外務省入管の登録支援機関の認定を受け、フィリピン人送出し機関企業と業務提携し、フィリピン人材の直接雇用を行った。私の社労士としての新たな挑戦である。