まえがき

遙か昔ある聖人はこう言いました「愛とは全ての人に平等に降り注ぐもの」であると

果たしてそれは本当なのでしょうか

この詩集には容姿に恵まれた人と、そうでない人才能に秀でた人と、そうでない人人格の優れた人と、そうでない人社会的な地位の高い人と、そうでない人経済的に豊かな人と、そうでない人恋人や結婚相手のいる人と、そうでない人などいわば人生や愛の場面における“勝ち組”と“負け組”と呼べるような格差の両側にいる人々の声が若者を中心に多数収録されています

彼らや彼女らの言い分に耳を傾けて一度検証してみてください

ひょっとしたら愛とは不平等で人を選別して降り注ぐものなのかもしれませんもしもあなたが“愛に選ばれなかった人”だったらどう生きていきますか

Aか、Bか ※投稿者ボンボン息子 二○歳

次々と起こる若者の凶悪犯罪を前にして有識者たちはこう言う

「生まれ育った不遇な環境が彼を残ざん忍にんな犯罪者にさせた彼もまたすさんだ社会の被害者だ」と

それは一面真実だろうけれどしかるべき正常な環境の下で育ったところで結局彼は犯罪に手を染めるような歪んだ人間になったかもしれない

彼を取り巻く社会に責任があるのかそれとも社会の秩序やルールを守れない彼自身の人格に責任があるのか一体どっちなんだ?

急増する引きこもりの若者に向かって有識者たちはこう言う

「モノは豊かになっても心は豊かにならない文明社会を象徴している彼もまた便利になった社会の被害者だ」と

それは一面真実だろうけれど引きこもって働いてもいないのに餓死しないでいるのは何でだ?

極論だと思って聞いてくれ引きこもりの解決策は引きこもっている若者を今すぐ発展途上国に送り込むことだ

今日を生き延びるためのお金を工面するために嫌でも外に出て稼がなきゃいけない引きこもりしたいなんて言っている暇はなくなるぜ

引きこもりは豊かな物質社会に甘えている者なのかそれとも豊かな物質社会に押し潰された者なのか

一体どっちなんだ?