ナルコレプシーの現状

■社会的な認知の乏しさと、無理解、偏見

ナルコレプシー、特発性過眠症およびその関連過眠症は、そもそもこれが重大な疾患であること自体について、社会的認知を受けていません。患者の多くは周囲の無理解や偏見に日々さらされ、例え薬物療法により症状の改善が見られても、依然として社会的に不利な状態に置かれていることが多いのです。

「たるんでいる」「怠けている」「やる気が無い」「無責任」等、根拠の無い偏見による叱責を受けたり、また主たる症状が「眠気」であることから、「そんなものが病気であるはずがない」「よく寝られていいじゃないの」といった無理解に阻まれ、話すら聞いてもらえないという事態も、多くの患者が経験するところです。

また患者自身も、自分の状況を疾患によるものと考えず、セルフコントロールができないことを悲観したり、自己評価をひどく低くしてしまったりすることが多々あります。そのため、辞職を余儀なくされたり、学校に行けなくなり引きこもってしまったり、対人関係を避けるようになったりと、二次的な損失が生じています。

また、疾患であるという自覚を持てないことが医療機関にかかりにくくさせ、長期間の放置につながっています。

■医師や行政の認知の低さ、無理解

一般だけでなく、医師や行政による認知の低さ、無理解は、さらに深刻な事態を引き起こしています。ナルコレプシー、特発性過眠症等の患者の多くは、専門医により診断されるまで、相当数の医師にかかりながら放置され、ひどい場合は医師から詐病と決めつけられたり、嘲笑されたりという、いわれのない屈辱を受けています。

したがって、過眠症としての治療を受けられなかったり、疾患であるという認識を持つことができなかったり、症状に苦しみ、社会生活に問題を抱えたままの潜在的患者が多数存在しています。彼らは、私たちがかつてそうであったように、自分に責任の無い病気の苦しみを、自分のせいにして、さらに自身を苦しめる日々を送っているのです。

■特発性過眠症の深刻な症状

特発性過眠症の場合、強い眠気が毎日長時間も続きます。この病気の場合は、夜間に十時間近くの睡眠を取っても、日中に一時間以上の眠りが何回も起こります。ひどい場合には一日二十時間を超える睡眠が何日も続き、通常の社会生活は不可能となり、患者が自分の人生を諦めてしまうケースも少なくありません。

さらに、強い眠気と異常に長い睡眠時間に加え、頭痛や手足のしびれ、頑固な下痢等自律神経系症状が断続的に伴いがちで、生活の質を大きく下げています。