そもそも認知症とは何か?

認知症とは、「いったん獲得した知的機能が持続的に低下し、複数の認知機能障害のために社会生活に支障をきたすようになった状態」と定義されています。すなわち、認知症というのは“状態”のことであり、特に認識力や記憶力、判断力といった社会生活や対人関係に欠かせない能力が衰え、生活に支障をきたす状態を指しているわけです。

65歳未満の人が発症する認知症を「若年性認知症」といいます。認知症の症状を認める疾患は数多くありますが、その中で代表的なものとしては次の三つのタイプがあり、「三大認知症」といわれています。

・アルツハイマー型認知症(いわゆるアルツハイマー病)

・レビー小体型認知症

・脳血管性認知症

これら三つの認知症に「前頭側頭型認知症」を加えて「四大認知症」という場合もあります。この中でアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)がもっとも多く、認知症の6~7割を占めています。

アルツハイマー病は、脳の神経細胞が減少したり、記憶を司る海馬が萎縮するために、記憶や思考能力がゆっくりと低下していき、最終的には日常生活の最も単純な作業さえできなくなるばかりか、自分が誰であるのかまでわからなくなっていくという、恐ろしい病気です。ほとんどの場合、60歳以降に初めて症状があらわれます。

アルツハイマー型認知症の次に多いのが「レビー小体型認知症」です。主として大脳皮質の多数の神経細胞内に神経細胞のゴミともいわれる「レビー小体」という物質が蓄積し、物忘れのほかに幻覚症状などが現れます。また、手足がこわばり、運動障害が生じるなど、パーキンソン病に似た症状を伴います。その次に多いのが脳血管性認知症です。

アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症は脳の神経細胞が変性、萎縮するために発症しますが、脳血管性認知症は脳の動脈硬化や脳梗塞などで、脳の血流が悪くなるために起こります。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『人生100年時代健康長寿の新習慣』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。