そしたら向こうのバカが、

「ババア〜てめえぶっ殺すぞ!!」

と返してきた。

いくらこのおばちゃんだって、こうこられたらそこはやはりかよわい女性。こわくなって電話を切った。

その一部始終を見ていた旦那はいつものように我関せず……。

そしたらすぐ又かかってきた。

よっぽど面白くなかったんだろう、でもそりゃこっちだわ!! さすがに今度は旦那にとってもらったら、いきなり電話口から、

「○○○子のくそばばあ〜、今からぶっ殺しに行くからな!」

と、おばちゃんの個人名が名指しで思いっきり聞こえてきた。もう、やつらの中にはおばちゃんの情報は満載らしい……(泣)。こうなったら、いくらなんでもおばちゃんだってまじにビビるわな。父ちゃんがいてくれて本当よかった〜。

こんな事があっちこっちに起こっている今の世の中。

一人暮らしの年配のご婦人らは本当に心ぼそいだろうにね。なげかわしい世の中です。

どんな旦那だろうと、そばにいてくれるだけでも本当にありがたいって、今回はつくづく旦那に感謝したおばちゃんなのでした。

父ちゃんありがとう。

今日もどこかで、詐欺があったとニュースで流れてた。

あ〜いうやからにも親はいるんだろうし、あんまり世の中バカにするんじゃないよ。

あんたらだっていつかは老いる!

その時は今よりもっと生きにくい世の中になって、あんたみたいのが一番のカモになるんだよ!

まじめに働け! なんてあんたらには無理な事は言わないから、せめて人様にめいわくかけずに、そこいらでのたれ死んでくれ〜とおばちゃんは切に祈っている。

そんな事があった次の日、おばちゃんと旦那はさっそく電話にナンバーディスプレイとかいう機能を取りつけました! とさ。

民度が高い飲んべーさん

先日、久しぶりに電車に乗った。

夜の十時過ぎだが上りなのでそれほど混んではいなかった。みんなマスクをしていた。その中にサラリーマン風のおじさんが、足を大きく開き、イスからずり落ちそうになりながら爆睡していた。時間的に酔っているのかも知れない。

もちろんそのおじさんもマスクをしていたが、少しずれていた。やはり今のご時世、密閉された電車の中でマスクがずれているのが気になって、私はおじさんから目を離さずに距離を置いていた。

ある駅についた。爆睡していたおじさんは、ハッと気付いて目をさました。

「あ、降りるのか?」と見ていたら、おじさんは体勢を立て直し、カバンをひざに置き直し、めがねを正し、そして、何と、ポケットから新しいマスクを取り出して、自分がしていたマスクをビニール袋に入れ、それをカバンに入れ、又、眠りについたのだ。

それを見ていた私は、「日本人ってすごい!!」とどこかのおえらいさんの言ってた民度が高いという言葉を思い出し、何か感動すら覚えたのだった。

酔っていても、それなりにしっかりした人は、ちゃんと自分をつらぬいてるんだと、少し考えを改めた出来事だった。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『居酒屋おばさんの下戸ですけど何か?』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。