「かわいかったな~。沙羅ちゃんぐらいかな~」

「沙羅と同じくらいね」

孫の顔を思い出した。可愛いハプニングだった。それから二週間後、デパートで買い物して歩きすぎて休んでいたら、男の子が走って来た。

「ピザのおじちゃん、おねえちゃん!」

「おおー、ピザのボク」

「僕は空君です」

「おじちゃんは今井と言います」

「おねえちゃんは?」

「空君、ちょっと待って僕はおじちゃんで、こっちはおねえちゃんなの?」

「そうだよ。だっておねえちゃんは僕が、大きくなったらお嫁さんにするの」

「嬉しいわ。こんな素敵な紳士にプロポーズなんて」

「おねえちゃんはとても優しいし、お花の香りがするの。心がきれいなの。おじちゃんはお空の香りとおひさまの香りがするの。とても大好きだよ」

「すみません。あの日以来、会いたいなと話していたのです。デパート入って、すぐ、ピザのおじちゃんがいる。匂いがすると、探し当てたのです。びっくりしました」

空君パパ。

「そうですか。おじちゃん嬉しいな。お友達だね。おじちゃん、七歳になるお友達がいるよ。すごく空君と似ていて、同じ事を言うんだよ。おねえちゃんをお嫁さんにするって、おじちゃんのライバルだよ」

空君の父親が、

「えっ! そ、その男の子のお名前、ひょっとして、吉岡快と言いますか?」「ええー何で知っているのですか!」

「今和不動産の今井社長ですか? 奥様はゆりさんですか」「そうです!」

「お会いしたかったです。快は兄の子で、僕の甥っ子です。その節は本当にありがとうございました」

「何という偶然でしょう。本当に、吉岡家とは縁がありますね」

「息子の空もすごい人見知りで、今井さんに飛びついていくとは、正直驚いています。初めてです。快と、どこか性格や考え方が似ていて不思議な子達です」

「素晴らしい感性を持った子達です。おめでとうございます」

「こんな事言われるの、初めてです。嬉しいです」

「今井のおじちゃんは、大好きな快兄ちゃんを助けたおじちゃんだよ」

「快兄ちゃんからよく聞いているよ。とっても強い綺麗な色をしたおじちゃんだって。ケガしたの、どのお手々?」

「左手だよ」

「お手々さん、快兄ちゃんを助けてくれてありがとう」

吉岡さん慌てて携帯で撮影。

「痛かったね。本当にありがとう。きっと、きっとケガする時よりも、もっと強くなっているよ。痛い痛いの、飛んでいけ~」

手の甲に頬を当てて目を閉じた。大人全員感動! 危うく涙が出そう。純真無垢な心、言葉は人を感動させてくれる。ほんとに快君に似ている。しばらくは綺麗な心で過ごせそう。その動画を吉岡社長にラインで送ったらしく、吉岡さん兄から電話。

「今井さん、すごい、偶然ですね。もし良かったら、一緒に食事しませんか。父も快も一緒です。快が側で必ず、必ず来てほしいと駄々をこねています。是非、来てください。母と妻はゆりさんに会いたいと騒いでいます」

「いいのですか。家族の食事会では?」

「今井さんは家族ですよ」

「喜んでお邪魔します。ゆり、吉岡さんの食事会に招待されたので、お邪魔することにするよ」

「嬉しいです。ありがとうございます!」

空君も喜んで私達夫婦と手をつないでホテルへ向かった。空君、スキップしている。