私が生まれ変わるまで

〈ロサンゼルス〉1998年

娘が1歳半のとき、私たちは3人でロサンゼルスに旅行に行きました。幼児を連れての海外旅行、私は一抹の不安がありましたが、二人いれば娘の面倒は見られるだろうと思い、行くことを決めました。夫は海外に行くとなると、行きの空港から楽しみたいタイプ。私も空港でゆっくりできるのならそうしたいです。新婚旅行とかはそうできましたけど。二人だったもんね。

このときは1歳半の娘が一緒なのに、彼は一人で空港を隅々まで探索し、ラウンジも堪能し、食事とか買い物も気ままにやっている。私は娘のことがあるので、とりあえず娘がご機嫌でなければ自分のことなど後回し。なので結局、夫には「一人で行ってきて。私はここでこの子と待ってる」となる。とっかかりの空港で、すでにこの状態。

飛行機の中でも、娘に食事をさせるのも、ぐずっている娘をなだめるのもすべて私。その間夫は何をしていたかというと、優雅に食事をしたり、映画を見たり。少しは娘を見ていてくれと頼むと、「映画が終わったらね~」とまったく悪気も気遣いもない。

おかげで、私は12時間ほどのフライトのほとんどを後ろで娘を抱いて過ごしました。その間に、夫が様子を見に来たことは一度もなかった。そんな夫なのに、私は「男の人はみんなこんなものだろう」と、自分から良いほうへ考え、うちだけじゃない、みんなこんな気持ちなんだ、みんな頑張っているんだと自分に言い聞かせていました。

そんなこんなで、すでに疲れ果てた私ですが、ようやくロスに到着し、ホテルに着いてほっとしたのも束の間、娘が発熱。娘をベッドに寝かせ、夫に「私はこの子に付いているから、一人出かけてきて」と夫を送り出しました。長時間のフライトで、娘も疲れたのでしょう。ずっと泣いていましたから。こんなに遠くまで連れてきてしまってごめんねと、ずいぶん反省しました。

ですが翌日、娘の熱も下がり、無事に3人で出かけることができました。娘には本当に「ごめんね、ありがとう」という気持ちでいっぱいでした。実は私、この旅行ではっきりと覚えているのはこの「機内~発熱」の間のバタバタだけで、楽しかった思い出はほとんど思い出せません。よほど疲れたんだと思います。