留学期間は4か月間であり、同年10月には日本に帰国する予定でいた。

留学をするにあたって、事前の準備に極力お金を使わないことに決め、コンドミニアムを賃借して自炊・掃除を行うことにした。

日用品(米や調理器具など一式)は日本で調達し、事前に輸送を行った。常備薬なども日本のものを持参した。

コンドミニアムは1人で生活するにはとても広く、リビング、寝室、キッチン、トイレ兼シャワーブースが設置されていた。翌日から英語の語学学校に通うため、フィリピンに到着した初日はすぐに眠りについた。

授業は、朝9時から夕方4時まで、計6回に分けて行われる学校であり、先生と私が入室すると部屋がいっぱいになる、ワンボックスタイプの小さな部屋で行われた。

授業の初日は、午前中だけ座学を行うといったものであり、英語の先生(フィリピン人)とマンツーマンだったが、何を話しているのか全く分からなかった。

これまで何度か海外を訪れていたにもかかわらず、全く分からないという現実が、ボロボロの心に追い打ちをかけるようであった。

午後からは課外学習の時間となり、先生に連れられてスーパーマーケットで買い物をした。

事前に買い物の仕方や聞き方を教えてもらっていたけれど、忘れてしまい、言葉が出てこない。支払いにクレジットカードが使えるのか、現金だけなのかさえも分からない。頭が真っ白になった。

洗濯はクリーニング店に持ち込む方が安価であったため利用することにしたが、そこでも当然日本語は通じない。仕上げの方法から時間予約、支払いの会話をしなければならない。

海外で単身、無言で生活することなどできず、こんなことでは何のために海外まで来たのか分からない。

見様見真似の身振り手振りで伝えた。恥ずかしいなんて言ってはいられなかった。