以前、子ども達が通っていた小学校で、子育て経験について話したことがある。保護者向けの勉強会で4人の子育てを通して悩んだことを話してほしいと依頼されたのだ。

私はそこでこの失敗談、「親主導の習い事遍歴の弊害」について語った。会が終わると一人のお母さんが私の所に歩み寄り言われた。

「お母さまが沢山の習い事をさせてくれたこと、娘さんが大人になった時にすごく感謝すると思いますよ」

子供たちに、自分は何をやっても上手くならないと、「自信」ではなく「劣等感」を植え付けてしまったと後悔していた私は、その言葉を聞いて救われた思いがした。

同席されていた校長先生の終わりの挨拶がよかった。

「うちのどら息子なんて、学費を納めた3日後に勝手に退学届を出して大学中退ですよ。子育てなんてそんなもん。親の思うようにはなりませんよ」

保護者一同からはため息と笑い声が半分ずつ。2時間の子育て討論会を、それで締めくくる校長先生に座布団三枚。

一陽来復 一発逆転ホームラン

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『ママ、遺書かきました』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。