私は無言で授乳に集中した。舅の言ったことはちゃんと聞こえていたが、どうでも良い話だ。姑は姑、私は私。いちいち人と比較していたらキリがないし必要がない。

それよりも、夫が父親として成長してくれることを心から切望していた。夫が子供の頃父親に愛情を注いでもらえず淋しい思いをしたのであるならなおさら、我が子へ愛情を注いで心の中の空洞を埋めて欲しい。愛は与えることによって、より自分が満たされるものなのだから。

決して与えてもらうばかりでは満たされない。子供に対する愛は何の条件も駆け引きもない無償の愛だ。これほど強くて大きな愛は他に存在しない。

結婚してから、早くも一年一カ月が経過していた。これまでの道のりは山あり谷ありといろいろな出来事があった。

私が何とか頑張ってこられたのも、妊娠と出産、子育てと言う人生最大の幸福に出逢えたからだ。

人は今を一瞬一瞬精一杯生きている素晴らしい生き物だと思う。反対に、言葉ひとつにしても相手に傷を負わせると言う言葉の脅威も知ることができた。

人は誰でも子供が産まれたら親になるとは限らないのだと言う現実も体験した。人は孤独を知ることも必要なのだと。子供に対する親の愛情の偉大さも知る事ができた。

この時間の流れの中で、多くのことを学べたことは私にとって貴重な体験である。未来へ向けて子供たちと共に成長し続けたい。

子供たちをしっかり人間として育てていくことが私の大きな道標だ。私は力強いエネルギーを体中で感じた。

私は幸せだ。心は満ち足りていた。私を母親に選んできてくれてありがとう。子供たちへ心からそう伝えたい。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『プリン騒動』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。