第二の人生 結婚 子育て

どこの家庭にもそれぞれ違った子育ての方法があるだろうが、我が家の子育ての手法にも、いつの間にか独特のパターンが生まれた。サラリーマンではない我が家では、家庭の中に夫の仕事場があり、彼は忙しさの中にあった。仕事の仕上がりを待っているよその人が、始終来ている状態だったため、直接私的な相談がしにくかった。

もし夫が子育てにあまり関心がない人ならば、おそらく私は自分一人のやり方で子供のしつけをしていたと思うのだが、彼は子供を大切に思う人だった。そのため、私は、子供とのやり取りは、仕事をしている夫に聞こえるように意識的に話をした。子供たちを誉めたり叱ったり諭したりしている自分の声を聞かせるようにしていたのだ。

それを聞いている夫は、私のやり方、言い方に納得や同意をしている場合は、何も言わないでただ聞き流していたが、子供が、母親に言われたことを理解していない、あるいは了解していないなど、フォローが必要だと思ったときは、仕事の手が空いた時に、その子だけを誘って散歩に出て行った。そして、私が叱った後は特に、子供の感情が落ち着くのを見計らってから、静かに私の真意を、言って聞かせてくれたのだ。

機嫌よく帰ってきた子供に話を聞くと、「お父さんと一緒に喫茶店に行って、バナナジュースを頼んでもらって飲んだ」とか、「オムライスを食べてきた」とだけ嬉しそうに話したが、父親が言って聞かせたことは抵抗もなく、その子の気持ちの中に入っているようだった。夫は、忙しいにもかかわらず、子育てに関して重要な役割を果たしてくれたと思う。私の狭量な点をカバーしてくれたと感じている。

私達は互いの役割について、改まって取り決めなど、したことはなかった。ただ、子供を一緒に育てるという共同作業をしてきた結果、いつの間にか、そんなパターンが生まれた。