銀座の裏通りには銀座の粋が溜まる

銀座の賑わいを語るとき、表通りの銀座中央通りだけでなく、裏通りも外せません。

銀座の裏通りは、東京では数少ない整然とした碁盤の目状態になっていて、銀座中央通りに並行している南北に走る縦裏通りと、銀座中央通りと交差する東西に延びる横裏通りがあります。

南北の縦裏通りでは「並木通り」が銀座では最も長い裏通りです。銀座一丁目から八丁目までの長さがあります。多くの高級ブランド店が並んでおり、また老舗のレストラン、割烹、洋菓子屋などの名店も多数出店しています。

静かな銀座を好む人々にとっては、表の中央通りより人気があります。東西に横に延びる裏通りでは、銀座五丁目で中央通りと交差する「みゆき通り」が道幅も広く、高級店も多く並んでいます。

この道の名前は、徳川将軍が浜離宮にお成りのときに通った道、明治天皇が海軍兵学校に行幸されるときに通った道などと言われて、その名が付いています。

もう一つ注目すべき横裏通りは、銀座三丁目で中央通りと交差する「マロニエ通り」です。

この通りをJR有楽町駅からプランタン・ビルの連絡架橋をくぐって歩いてくると、中央通りに出る手前に、超モダンな高層ビルが二棟建っているのが目につきます。

その一つは南アに本社のあるダイヤモンドのメジャーDe Beersの旗艦店ビルであり、もう一つは世界の真珠王御木本のMIKIMOTO Ginza2ビルです。

「マロニエ通り」は道幅が狭いので、二つの高層ビルの全身を眺めるのに苦労しますが、不思議な曲線のDe Beersビルと全ての窓が三角形のMIKIMOTOビルは、一見に値します。

同じ横裏通りにダイヤモンドと真珠の会社のビルが並んでいるのは、いかにも銀座らしい豪華さです。

その他の銀座の縦裏通りと横裏通りの名前を挙げれば、ガス灯通り、交詢社通り、花椿通り、柳通り、すずらん通りなどがあり、更にそれらの裏通りにも細い裏道があり、隠れ家的なバー、カフェなどがあり、銀座の繁華街は奥行きがあります。

パリ、ニューヨーク、ロンドンなどのメインストリートの豪華さに比べれば、表通りの銀座中央通りの豪華さは劣るかも知れませんが、外国の都市の豪華さは表通りに集中しており、表通りと裏通りの格差が大きくて、外国の裏通りは大抵貧弱です。

しかし、銀座中央通りは表の賑わいを裏通りまで浸透させています。外国では建物の表のファサードを重視しますが、日本では着物の裏地も重視するように、街路造りにも表と同時に裏も重視するのです。

銀座の裏通りには、長年の銀座の流行が産んだ良質の「粋」が、表通りの流行に流されないで溜まっています。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『東京の街を歩いてみると』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。