〈在宅ワークと休日〉1998年

娘が1歳半になったとき(ちょうど4月の入園の時期でした)、私は在宅で仕事を始めました。地元を離れ、知り合いもいない土地での育児に寂しさもありました。何か、外とつながりたいと思いました。そこで、娘を保育園に預け、在宅の「テープおこし」の仕事を始めました。

娘は人見知りが激しく、保育園になじむのにもかなり時間がかかりましたが、6月に入ったころにはようやく保育園にも慣れ、仕事をスタートできました。テープおこしは、会議などの議事録を録音したものを、ヘッドホンで聞きながら文章化していく仕事です。これなら家でもできるし、何かあってもすぐに娘を迎えに行けると思い、早速研修に通い始めました。

2週間の研修の後、ある程度早打ちができるようになり、短い会議のテープを持ち帰って打ち込む作業を始めました。夫は、私が仕事をすることも、家で仕事をすることも、娘を保育園に通わせることも、何に対しても何も言いませんでした。「反対もしない良い人だ」なんて思ったものです。本当は、何も考えていなかっただけかもしれないのに……。

それからは、毎日忙しい日々を過ごしながら、休みになると3人で出かけることも多くなりました。

ですが、3人で出かける先は、いつも夫の好きな場所。彼が提案する場所は、遠くの繁華街であったり、遠くのお食事処、はたまた富士山や家電量販店。とても幼い子どもを連れて気軽に行けるような場所ではありません。富士山など、自宅からは車で5時間はかかろうかという距離。まだ幼い娘を連れて行くことに、誰が喜んで賛成するでしょうか。

私が、

「遠すぎる。この子を連れて行くには無理がある」

と言うと、

「お前は何でも反対するな。まったく面白味のないやつだ。行けば絶対娘も喜ぶのに」

と。そう言われた私は、いつも「悪いことをしたな。喜んでついて行けばよかった」と反省したり。結局それでも行くことになるのですが、予想通り車内では娘は退屈でぐずりだし、それをなだめるのも私、途中でトイレに連れて行きたいからとお願いするのも私、到着したころにはクタクタです。

そこから夫は、楽しげに山に登ったり写真を撮ったりするのです。まったく私たち二人のことは頭の片隅にもないように。そこからまた帰りの車に乗るのです……。休日はほとんど、このようなお出かけでした。ですから、私はいつも「休日は疲れる。仕事をしているほうが楽だ」と思っていました。

夫は遠く以外にも家電量販店が大好きでした。これまた休日に、私たちを連れて家電量販店に行き、自分はずっとパソコンやゲームを見て回るのです。幼い娘が、こんな場所を喜ぶはずもなく、そこでも私はいつも夫の後をぐずる娘の手を引いてついて行きました。彼は後ろを振り向いて私たちの様子を見るということをしなかったので、いつの間にか夫を見失い、探し回る羽目になりました。

こんな休日、楽しいはずがありません。

※本記事は、2021年6月刊行の書籍『カサンドラ症候群からの脱却』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。