私が生まれ変わるまで

〈入院〉1997年

そんな娘が3ヵ月のとき、初めて風邪をひきました。私は娘を病院へ連れて行きました。風邪薬をもらい、しばらく様子を見ていましたが、一向によくなりません。それどころか、咳がひどくなっているように思えました。

1週間後、再び病院へ行くと、肺炎にかかっていると言われました。即、入院させなければならないと。私は早速入院の準備を整え、入院する大きな病院へと移りました。幸い、自宅からその病院は徒歩で行ける距離でした。

夫が娘が入院すると決まったとき、真っ先に私に言った言葉。「大丈夫か?」でも「娘の容態は?」でもなく、

「俺はおかしいと思っていたよ。咳がなかなか治らないからね。お前がもっと早く病院へ行っていれば、こんなことにはならなかったんじゃないか?」

それならそうと、なぜ一緒にいるときに言わなかったのか、自分はずっとゲームばかりしていたくせに。なぜ私のせいみたいに言うんだろう。いろいろ思うこともありましたが、とにかく入院しなくてはならなかったので、荷物をまとめて病院へ行きました。

それから1週間、小児病棟での生活が始まりました。小児病棟は、赤ちゃんや小さい子も多く、夜中に夜泣きやぐずりでけっこうな物音がしました。娘は私と一緒だったし、家と同じ感覚だったかもしれませんが、うちの娘は完全母乳で、夜中に夜泣きもあったため、私はほとんど眠れない1週間を過ごしました。

その間、夫は仕事が終わると毎日必ず自分のお弁当を買って持ってきて、その日あったことを話して帰っていくのでした。その様子は、小学生が遠足に来ているようだと私はふと思った記憶があります。楽しそうに、違う環境でいられることが新鮮で嬉しいというような感じに受け取りました。

もちろん、私を気遣って「少し代わるから眠ってくれば?」とか「家に帰ってお風呂に入ってくれば?」なんてことはまったく言わないので、こちらから要求しました。家に帰ってお風呂に入って着替えも取ってきたいから、ここで娘を見ていてくださいと。

言えばやってくれます。代わりに見ていてくれます。だけど、それを自ら進んで言ってくれることはありません。ようやく1週間が過ぎ、退院できたときは、心底ホッとしました。こうして、またいつもの日常に戻りました。