不思議な少年との出会い

吉岡さんと山本さんの話。

TI会の前日吉岡社長より、山本さんに電話。

「山本、金曜日にここへ来るだろう? 何時頃着く予定?」

「どうした。珍しいな」

「山本に是非、会ってもらいたい凄い人がいる。明日の六時に八名で食事をしながら、その人を呼んでいるんだ。うちの会員も是非会いたいと言って時間を頂いたんだ。君にも会ってもらいたい」

「それは嬉しい。僕も会いたい。ありがとう」

「会の二時間前に会えないかな? その時に詳しく話すよ」

「大丈夫だ。四時にアイアイカフェでな」

金曜日四時。アイアイカフェ。

「山本、ここだ」

「やぁー久しぶり」

「奥さんは、大丈夫だったかな?」

「明日、楽しみだから、今日はゆっくり部屋にいるそうだ」

「コーヒーでいいかい」

「ああ。さぁ、話して」

「その人に会ったのは先週で、快の命を救ってくれた恩人なんだ」

「えっ! 何があった!」

「両親と出かけていて食事の帰り道、親父が知り合いと会って立ち話をしていると、快は退屈だったのかガードレールの上に座っていて、手が滑って後ろに反り返る形で道路側に落ちていった。横から大型トラックが近づくのが見えたらしい、その時サッとその男性が快を抱きかかえて助け、腕をケガしながら、命を救ったんだ」

「ええー! たいへんだったな大変だったなぁ」

「今、考えるとぞっとするよ。体が震える。本当に感謝している。もう一つ、驚くことがあった。快は君だけに心を許すだろう。その男性に飛びついて、ありがとうと言った。親父がびっくりしていた。

お礼の食事会でその方の奥様にプロポーズするんだよ。僕はおねえちゃんが大好きです。大きくなったら僕のお嫁さんになって下さい。それまではおじちゃんに僕の代わりに守ってもらう。おじちゃんは強い男だから大丈夫だよって。

大笑いした。快はあの年で女を見る目があるよ。素敵な奥様だ。あの夫婦と話していると何だか安心できて周囲まで明るくなって、みんな笑っている。嘘がない、裏がない感じがする。あの親父も笑っている」

「僕の知人に似ているような……名前は?」

「今和不動産の今井社長」

「ああーそうか! 分かった。納得。僕の友人だよ」

「ええー! 本当か。快が山本のおじちゃんと同じ色をしているからお友達かもしれないよって言っていた!」

「明日の予定は、今井さん夫婦と後二組の夫婦と定期的に会って食事や買い物をしている会なんだ。そのグループでいると癒されて、ストレスが解消する。本当に大切な友人達だ」

「それでよく来ているのだな」