特に気に入っている点は、学ぶ側の不安が理解されておりその都度、対応のコメントがある。学習者には大変に喜ばしいことだ。もっと早くから、通信教育で学んでいたら効率よく学習できたことを残念に思った。

でもいいことばかりではない。チェックテストでの点数は悪く、自らの能力に不安が持ち上がり、年齢を重ねるとこんなものかと年齢を気に病む自分がいる。耳元で「歳だから、無理。もう止めたら」とささやく自分がいる。毎日、そんな呟きの中で、一日三時間は学習した。家族は、私のそんな必死な毎日の努力を知らず、

「もう止めたほうがいいよ。自分の歳を考えたら」

と気軽に言う。

「今の会社で、続けて仕事したほうが良いよ。給与も入るし。今更、勉強しなくても」

家族みんなが、言えば言うほど「なにくそ」と燃え上がるものを感じる。通信教育を、着実に熟し、必ず合格してやるぞ……。

受験日がきた

一年が過ぎ、年一回の試験日が来た。定年を考えると、最後の試験だ。定年後に開業して、自営するためには待ったなし。試験日、その日は特に暑く感じた。出来る限りのことはやったつもりだ。緊張する。試験会場に行くまでの間に不安がよぎり、なんとなく、熱っぽくなり、額に手をやるが、さほど感じない。プレッシャーなのかと思い、落ち着かせるために、コンビニで「熱さまシート」を買い、試験場に入り試験番号の席に着くと額に当てた。

試験は一日掛かり、午前中は、条文、規定等の空欄に正当な文言を入れる。午後は、長時間で休みがなく、試験内容は、選択問題で、正当な答えを五つの中から選ぶ。

「健康保険法」「厚生年金保険法」「国民年金法」「労働基準法」「雇用保険法」「労働者災害補償保険法」「労働保険調整法・労働保険・社会保険に関する一般常識」各十問が出題される。選択式は八問で四十点が満点。択一式は七十問で七十点が満点。合格基準は、選択式各科目三点以上かつ七十%以上、択一式各科目四点かつ七十%以上である。一科目でも失敗すれば不合格になる。試験前は緊張する。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『明日に向かって』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。