新生代第四紀更新世(260万年前~1万年前)の氷河時代

南極大陸の氷床の成長により始まった地球の寒冷化は、更新世(260万~1万年前)に向かうにつれて更に激しくなり、その頃から氷床の拡大と後退の繰り返しによる10万年ぐらいの周期で氷河が世界中で見られるようになり、更新世のほとんどは氷河時代でした。

定義によりますと、氷河期とは南半球と北半球に氷床がある時期のことであります。

現在も南極大陸は氷におおわれていますし、北極に近いグリーンランドもほとんどの部分が氷におおわれていますので、私たちは現在も、まだ氷河期の中にいることになります。

ここで氷河期の中の寒い時期を氷期、氷河期の中の暖かい時期を間氷期と呼んでいます。

1920年、ユーゴスラビア(セルビア)の地球物理学者ミルティン・ミランコビッチは、氷河期が周期的に起きるということを論文で示しました。

それによりますと、地球の歳差運動(地球の自転軸がゆっくりぐらつく運動)、地軸の傾き角の変動、地球の楕円軌道の離心率(楕円が円からずれてどれほど細長いかを表す数値)の変化という3つの周期の異なる周期変動によって、地上に降り注ぐ日射量が周期的に変化するといいます。

さらに地球表面で離合集散する大陸の配置状況(現在のように大陸が南極にあるときは氷の大陸となり、寒冷化が進みますが、南極に大陸がない時代もありました)、雪のアルベド(反射能)が引き起こす増幅効果現象、二酸化炭素などの温室効果ガスの濃淡などが複合的に重なりあって、氷河期は起き、日射量の極小期が氷期になり、極大期が間氷期になります。

このようなことで地球は10万年ぐらいの周期(これをミランコビッチ・サイクルといっています)で、氷河期は起きますが、このように多くの要素がからみあっていますので,今後の氷河期について正確に予測するのは、まだ困難です。

過去の氷河期については、表1のように約10万年の長さで繰り返し地球を襲ってきました。

[表1]最近の氷河期

氷期と間氷期には海水面が大きく変化しますので、あわせて図1に氷河期の海水面の変化も示しています。

[図1]新生代第四期の海水面の変化

氷期には、氷床は海水を取り込んで厚くなりますから、それにしたがって海水面が下がり、陸地が干上がることになります。

逆に間氷期の最も暖かいときには、ヒマラヤ・アルプス・ロッキー・アンデスなどの氷河はもちろん、南極、北極の氷もすべて解けて海水面が最高になります。

最後のウルム氷期の海水面(最低の時は約2万年前)は、計算によりますと、現在よりも100~120メートルも低かったと推定されています。

このような変化によって、ヒトを含む多くの動物が大陸間を移動できるようになったはずです。

しかし、氷期が訪れ陸上の大部分が氷におおわれると、動植物は激減し、動植物を食料とする人類にとっては、大きな打撃であったろうと推測されます。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。