風子に対するお母さんの期待は恐ろしいほど強くて、一人親で完璧に育てようとしてた。きっと風子の勉学に対する才能を感じてたんじゃないかな。だから私はそれを邪魔しちゃだめだな、って少し距離を置くようになった。

風子と私は違った環境で育ったけど、でも同じようにグレた世界にいた風子が、あの世界から抜け出したどころか……医者ってねっ!  医者になったのがすごいと思ってるんじゃなくて、お母さんのエゴではなく、自分の意思で医者になったことがすごいんよ。

「母の言いなりにならない!」って気持ちがここまで遠回りさせてしまったのかな。

風子の好きなところは優しいところと素直なところ。

外ではガッツリ不良みたいなことやってたけど、友達には人一倍優しかった。

いつも自分の気持ちに正直でうそつかないし、かなり目立ちたがり屋でもあったね。高校では疎遠になってしまったけど、同窓会で久しぶりにあった時、風子は医者になっても風子のままだった。

正直、えらくなって変わってたらイヤだなとか思ってたんよ。

上から話したり、人をバカにしたり、そういうところが全くなくて、むしろ私たちにいろいろダメ出しされるもんね~(笑)。そういうところが魅力だよ。

今風子はやっと自分の本来の姿に戻れ、自分の人生を歩み始めた、ただそれだけのことのような気もしてます。

昔どん底を経験して、これ以上辛い日はない、そういう経験があったからこそ、成し得たことなのかもしれないね。

風子の様に私も現状維持ではなく、何歳になってもチャレンジすることを誓います♡

再会出来て良かった。ありがとう!

いおり

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『腐ったみかんが医者になった日』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。