昔はあたり前、セクハラおじさん

今でこそいろいろうるさいのであまり目や耳にしないが、昔はいろいろ失礼なお客さんもそれなりにいた。

セクハラ、パワハラあたり前、まだまだ若かったおばさんのお尻をタッチしたり、卑猥な言葉を口にしたり、そりゃもう品のないお客さんもけっこういた。

その中ではびっくりするような職業の人や、名のある会社に勤めているお客さんも何人かいたが、どんなにえらい人でもお酒が入るとスイッチが入り、タガがはずれとんでもない事になる。

まだおばさんも若かった時は対処に困った時もあったが、そこはもう経験を積んで、慣れてくるとお手のもの。

特に、お尻タッチのスケベな客は問答無用、制裁を加えてやるのだ。一番効くのは、お尻をさわられたら、その手をつかんで、

「いいかげんにしろい! このスケベ!」と大声でどなる。

だいたいこれでシュン!!

たまに「何だ、このやろう! 俺が何したって言うんだ!」って逆ぎれするスケベ親父もいるけど、

「今、その手で私のおケツさわったよね! みんなが見てるよ! 本当だったらケイサツ行きだよ! ケイサツ行ったら困るのはお客さんだよ。仕事も人生も全てパ〜だよ!」

と相手に負けずに大声でスケベ親父の声にかぶせる!

これだね!!

地位の高い人ほどシュンとなって一気に酔いが醒めて現実に戻る。こういう人って会社で部下からどう見られているんだろうか。

おそらく自分のこんな姿思いえがいていないんだろうな〜。

自分がお酒を飲んだ時の姿なんて飲んべーさんはみんな知らないのだ。もう一人の自分なのに……。

本当にお酒を飲むのも気を付けないと人生終わっちゃう事だってあるよっておばさんは声を大にして言いたいのだ。

一度、次の日にあやまりに来てくれたお客さんがいたけれど、

「まあ、ママ、酔った上での事だから……」って頭かきながら、あやまっていた。

下戸から言わせてもらえば、この言葉って本当に調子いいよね。酔った上でって、だったら酔っぱらってれば何でも許されるのか?

それはお酒を飲む人間の特権なのか、そうだったら私ら下戸はそれこそ大損の人生じゃないか‼

って大声でおばさんは叫びたいのだ。

でもね、この話もおばさんが若かった頃の話。

今は悲しいかな、誰一人おばちゃんのお尻なんか興味もないし、見向きもされないのだ。

あ〜、時の流れって本当に残酷なのだ〜!!