離婚

姉に相談した後も、夫を含めた4人でアパート暮らしを続けていたが直美が21才、雄二が15才の時に事態が急変した。

事の発端は、姉の旦那さんがとある平日の午後に、訪問先から駐車場まで徒歩で移動している最中に偶然、私の夫と面識の無い女性の2人が駐車場から一緒の車に乗り込んだ後、発車する場面を目撃したと姉が連絡してきたからだ。

姉は、もしかしたら不貞行為の証拠を獲得できるかもと言って、私に身辺調査会社に対して調査依頼をするように提案してきた。

私は悩んだが、子供達は自分が小さい頃から精神的および肉体的苦痛を体験させられた父親に、激しい嫌悪感をもっているのを理解していたので、2人が希望している私達夫婦の離婚が上手くいくならと考えて依頼する事にした。

すると、調査を開始してから2週間ほど経過したとき、姉から連絡がきた。

「ひろみ、あなたの夫があなた以外の女性と、不貞行為を行っている決定的証拠を獲得できたわ。確認してほしいから、なるべく早く私の所にいらっしゃい」

私は連絡をもらった日の夕方に、私の実家で母親を含めた3人で調査報告書の確認をした。

その中には、私の夫と仕事関係で知り合ったバツイチの女性が、一緒にラブホテルの出口から急いで車に移動する様子を隠し撮りした写真と、2人の行動が詳細に記載された報告書があった。

この内容を確認した私は、ただ愕然とした。そんな私の様子を見て、姉が声をかけてきた。

「ひろみ、こんな屈辱的な事を知らない間にやられてくやしくないの? それに、直美ちゃん達に対して何も良い事がないじゃない。ここまできたら、光夫さんを除いた親子3人で今、住んでいるアパートを出てこの実家に引っ越してきなさい。そして、離婚調停をして相手から離婚の確約と慰謝料を獲得しなさい。私も母も、そのための協力はしてあげるから!」

私は1回、子供達と話し合ってから返答する事にして、調査書をもらってアパートに戻った。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『娘からの相続および愛人と息子の相続の結末』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。