二、三時間も学習すると胸がちくちく。

頭が朦朧と……でも頑張らねば。

胸の為の薬で発作時に飲む「ニトロ」の錠剤には一粒ごとに使用期限がしっかりと書かれている。でも、期限を確かめて飲んだことはないし、今持っている薬の期限も覚えていない。これが頼りだ。

そんな水のことは、忘れていた。その翌日から、出社時に会社の前のコンビニで二リットルの水を買い、会社の冷蔵庫に入れ毎日出来るだけ多く飲むように努力した。

毎日の駅の階段に閉口する。階段半ばで胸が痛む。その都度、心臓に言い聞かせる。

「今日、いっぱい水を飲むから、我慢して」

そんな毎日を、夜遅くまで頑張った。

「なんと馬鹿な男だろう。無理して勝算はあるのか」

と我ながら思う。

私は、楽天家であり、生死については無頓着で、「死ぬは、一時。夢、未来の形を想像し、そんな未知なる未来は、永遠に続く」生きている限り、誰しも明日があり、未来がある。

学生のころは、八ヶ岳の麓に牧場を拓き、毎日、馬に乗って見回り、時には遠出する。

カーボーイハットでさっそうと過ごす毎日を想像していた。社会人になってからも、ヒマラヤ遠征、ヨーロッパアルプスを熱気球で越えることを考え、熱気球を買った。

熱気球を買う為の、金が無く、借金を申し込んだのが今の妻だ。そんな計画も、福岡転勤と共に仲間ごと居なくなった。今の夢は、社労士に合格し生涯現役を果たし、そして、その先は?

夢は、誰でも見られる。子供の時から将来を夢想するのが好きだった。暇な時間があれば、「トム・ソーヤーの冒険」などの冒険ものを読み漁った。

今のような、逆境ともいえる地獄から這い上がる力は、夢見る明日に向かって打って出るプラス思考の無償の行為こそが原動力かも知れない。