この大原美術館本館の横幅は、2階のホール正面の壁に展示してあるフレデリックの「万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん」という超巨大な絵の幅に合わせたものだとか。実際、絵の幅ピッタリの建物です。一見の価値あり。

入館料は大人1,000円、それに音声ガイドが入り口のところで借りられ、500円。

絵そのものの鑑賞のためのガイドのほかに、2段になった番号の下のほうを押すと、大原孫三郎の後押しでベルギーへ留学したのがきっかけで絵を買い集めた児島虎次郎画伯が、どのようないきさつで手に入れたかという経緯の説明もあって興味深いものがありました。

特に有名なモネの「睡蓮」は、モネ自身に願い出たところ、「1週間待ちなさい」と言われ、行ってみるとモネが影響を受けた浮世絵の国に送るためなのだからと思ってか、特別に力を入れて描いたものだったそうです。

また、マチスの娘さんの肖像画は、売らずに自宅に飾ってあったのを貰い受けてきたのだとか。

大原美術館の目玉、エル・グレコの「受胎告知」は、昔、私が小学生の頃に飾ってあった本館2階のホールではなく別室に特別展示。400年も前、日本で言うと戦国時代の作品です。

この絵が市場に出た、ちょうどその時に奇跡的に児島虎次郎がその場にいた、という全くの偶然で、この名高い絵が日本の、ここ倉敷に来ることになったのだそうです。

本館を出て、新渓園という元大原家の庭園を抜けると分館があります。こちらは主に日本国内の画家の作品を展示してあります。安井曾太郎、梅原龍三郎など大家の作品群や、地下には現代アートまで。

再び倉敷川河畔に出ました。雨の倉敷川もなかなかの風情でしょう。

石造りの太鼓橋(中橋)を渡り、火の見やぐらの近くを通ると右手に旅館くらしきの喫茶の入り口です。ここのお庭や、喫茶の調度もなかなかのものです。

向こうに見える赤いものは、伊勢屋さんの赤いミゼットです。ミゼットと言ってすぐわかる年代の人はたぶん60代以上くらい? 昭和30年代に見かけたかわいい三輪トラックです。

ずっと歩いていたので、ジャズ喫茶アヴェニュウでちょっとひとやすみ。ライブがない時間でお客は私たちだけ。あの日野皓正ライブもあったらしい。ドラムセットやグランドピアノが置かれ、巨大なスピーカーがセットされていて、そこの壁には出演したアーティストたちが書いたらしい落書きがいっぱい。

ジャズ喫茶アヴェニュウ外観

本町、東町と行くと美観地区はおしまい。

東町の「夢空間はしまや」のギャラリーや喫茶、それに最近オープンしたイタリアンの店「トラットリアはしまや」は息子の同級生がやっているので行きたかったけれど、今回はアヴェニュウに寄ったので行けませんでした。