「はい、どうぞ」

「いただきます!」

食卓に永吉とあおい、そして子ども達と蓮の五人で、一つのテーブルを囲った。蓮にとって、家族でこれだけ賑やかな食事をする事は、人生で初めてだった。中学高校時代は野球ばかりだったし、高校を出てからは有花と二人暮らし同然だったので、食事は本当に質素なものであった。

じわじわと込み上げてくるものをぐっと堪えて、蓮は海老に齧り付いた。それは見事に味付けされていた。からっと揚げられた伊勢海老は、サクッと音を立て、グラタンと一緒に口の中で蕩けてゆく。そして、お酒が進んだ。

話題は子ども達の学校の話、先生の話や塾の話、旅行に行った時の話で盛り上がり、時間の流れがいつもよりも速く感じた。蓮は、ただみんなでこうやってテーブルを囲い、楽しく食事をするだけで、幸せな気持ちになれた。子ども達を除いて、三人は既に麦酒から日本酒に切り替えていた。蓮はみんなが酔い潰れてしまう前にと、話を本題に移した。

「そういえば、この前、血液検査する事があって」

「血液検査か」

「それで、俺、B型らしいんだよ」

「え⁉ B型⁉」

やはり親父は知らなかったか。

「O型だって言っていたよな。そうだ、お母さんは何型だったか?」

「おふくろはO型だよ。俺もO型だと思っていたんだけど。医者にB型って言われてさあ」

「何だそれは。ちょっと待て、それはおかしいんじゃないか」 

すると、あおいも話に参加してきた。

「え⁉ それおかしくない? だってお父さんA型じゃない」 

親父はA型だったのか。折角の楽しい夕食の時間が、お粗末な葬式ムードに変わっていた。

「まあいいか!」

永吉は一言そう言って、血液型の話は一旦切り上げられた。永吉は直ぐにまた別の話題に切り替えたのだった。蓮はその夜、永吉宅に一泊した。酒に酔っていた事もあり、すぐに深い眠りについた。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『愛は楔に打たれ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。