一方、天然酵母パンは時間はかかるが適当で大丈夫。こねてさえおけば、半日から一日後の「隙間時間」に形作って焼くことができる。適当でいい加減が大好きな私にはもってこい。だから夢中になってこねては焼いた。

天然酵母の香りも手触りも「癒し」効果があり、こねていると気持ちが安らいでくる。子供たちもパン作りは大好きで、小さい手で喜んでこねていた。

ハイジの白パン。無水鍋を使った直火焼きのお鍋パン。ライ麦やヒマワリの種を入れたどっしりしたドイツパン。黒豆パン、クリームチーズとレーズンを中に入れた黄色いカボチャパン。バナナライ麦パン、シフォン型で作るパネトーネ、コーヒーレーズンパン。3種類のチーズをのせたチーズパンやクルミとカレンズを巻き込んだシナモンパン。食パンはどこのパン屋さんのよりも好きだった。

私のパンブームは10年ほど続き、家でパン教室を開き、小学校と中学校の家庭科室で、先生方向けに出張パン教室。幼稚園のバザーにも提供した。ローカルテレビでも自宅でのパン焼きを紹介され自称パン屋さんを名乗っていた。店を開くなら店の名は「ごぱん」と決めていた。「お米を研ぐようにパンをこねよう」がスローガンだった。

子供が小さい時は外出が難しい。だから家でできる楽しみに自ずと気持ちは向かう。

パン作り、お菓子作り、ガーデニング、編み物……。家族にも喜ばれ、子どもと一緒に楽しめることが趣味になる。そして、子どもの手が離れるにつれ意識は段々家の外に向かい、違った楽しみを求め出す。

その時その時はまるものは違うけど、何かに恋をするのは幸せなこと。

心に張り合いができ、毎日の生活に「潤い」と「輝き」をもたらしてくれる一生懸命になれること。

あると無いでは世界が変わる。

いつでも恋して元気でいたい。恋するパワーで生かされたい。

一生懸命 命を懸けるほど真剣に物事に取り組むさま

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『ママ、遺書かきました』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。