この2.5億年前の生物の大量絶滅事件と同じように、顕生代に起きた生物の大量絶滅事件6回のうち、5回は巨大火山噴火による二酸化炭素などの温室効果ガスによるものでした(最後の6500万年前の生物大量絶滅事件だけは巨大隕石の衝突によるものでした)。

さて、そこで、私はこれらの歴史をひも解きながら不思議に思ったことがあります。私は、産業革命以来250年という地質年代からみると目にも見えないような短期間でも、人間が排出した二酸化炭素などの温室効果ガスの量が地質年代の巨大火山が排出した量と同じぐらいになれば、同じようなことが、たとえば生物絶滅とかが、起きるはずだと思っていました。

しかしIPCCの各報告書の予測を読むと、それほどでもないようで(これはこれで大変なことではあると思ってはいましたが)どうしてかなと思い続けていました。

つまり、自然の火山による総排出量と、産業革命以降250年間で出した人為的な二酸化炭素の総排出量がオーダー的にほぼ同じになりながら、なぜ、IPCCの予測では、温度上昇が2度とか、4度など小さく、海面上昇も数十センチ、数メートルなのか、自然(地球)によるときは、気温上昇は、10度とか、15度など大きく、海面上昇も後述します氷河期においては(これには地球の物理的な理由も加わっていますが)100メートルにもなりましたが、その間のギャップにずっと疑問を覚えていました。

というのは、産業革命以降250年間で出した人為的な二酸化炭素の総排出量は2011年までにすでに約2兆トンになります。「2度未満のシナリオ」を実現するためには、産業革命以来の累積排出量を3兆6700億トン以内に抑える必要があるといわれています。

これに対し、自然の火山による総排出量は、2億5000万年前の巨大噴火では11兆トン。後述します5500万年前のメタンハイドレート爆発では2兆7000億トンでした。

つまり、産業革命以降250年間で出した人為的な二酸化炭素の総排出量は過去に地球的大災害をもたらした量に近くなっていることがわかります。そのような疑問をもって、その後の現在につながる地球の歴史をもう少し見ることにします。

※本記事は、2021年5月刊行の書籍『「グローバル・サンシャイン計画」で防ぐ劇症型地球温暖化』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。