そういう彼女ながら、対話を重ねる内に自己洞察を深めていった。

十八歳になってまもなく、別の通信高校に転籍し、韓国語の勉強を始めた関係で韓国人のネット友達もできた。

十九歳になったある日、突如彼女が髪型を整え、明るいオシャレな服を着こなし、薄いピンクの口紅をつけて外来に現れた。

別人かと思わせるほど華やいだ雰囲気を漂わせ、身のこなしもどこか自信にあふれていた。

お化粧したことで、これまで一人では行けなかった通信高校のスクーリングにも参加できたという。

あまりの急変に唖然とする私を前に彼女はこう言った。

「これまでまわりの雰囲気に押されていたが、今では派手な人にもあんまり怯えなくなった……」

母親の話では、化粧するようになってから急に変わり始めたという。

化粧をし、おしゃれになり、自分に似合う服を着るようになってから自信が芽生えたのか、外出が増え、店に入っても店員と対等に話せるようになった。

韓国人の友達とメールでやりとりするうちにおしゃれやお化粧に興味を覚え、ネットで化粧法を学び、化粧道具を集め、思い切って化粧にチャレンジしたのだという。

お化粧が女性を一変させる魔法のような力を持っていることを改めて知った。

※本記事は、2020年3月刊行の書籍『爆走小児科医の人生雑記帳』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。